2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧
蛇一匹など、「赤い魔法使い」バァルにとっては、別に驚くようなものでもなかったが、 その白い蛇は、彼に向かって何かを語りかけるようにも見えた・・・。 「・・・下種な欲望に汚された・・・ 全ての女性達に安らぎを・・・!」 反射的にバァルは後ろを振…
「やめてくれっ! 麻衣を放してくれたらなんでもするッ!!」 「だぁったらさっさと連れて来るんだよぉ!!」 マーゴが後ろを振り返って、ガラハッドにメリーの探索を指示しようとした時、 先程自分達がやってきた道から、足を引きずる音が聞こえてくる事に…
「アーッハッハッハァ! 知らないのかいぃ! あいつの正体をををっ!? お前たちはアイツに利用されてるのさぁッ! アイツのご主人様が、誰だか知ってるのかぁぁぁああ? お前たちが悪魔と呼ぶもの・・・。 大いなる過去において、 神に逆らいぃ、地獄へ落と…
「パパァ!!」 「麻衣!!」 ・・・そしてその隣には、赤いローブを纏った男・・・バァルがそこにいた・・・。 義純もフード越しの顔は見た事があるが、その顔をはっきりと見るのは初めてだった。 大きく見開いた、色素の薄い灰緑色の瞳が不気味だ・・・。 …
確かに老人の安否は心配だったが、伊藤には先に進む事しか考えられない。 マーゴは必死で考えた・・・、 二手に分かれるべきだろうか? だとしたら、パパさん、ヒウラ、自分の組み合わせと、ライラック、ガラハッドか? いや、戦力を考えて自分の代わりにガ…
「待ちなさい! ライラック達やおじ様を待つのよ! 一人じゃ危ないわ!」 「しかし、麻衣が何されるかわからないじゃないかッ!! 父親のわたしが行かなくてどうするんだ!?」 この緊急事態に英語でなんて答えられない。 伊藤は日本語でまくし立てる。 「ヒ…
「パパァ!!」 「麻衣!?」 父親の後をついていた麻衣が人形達に捕まった! マーゴもレッスルも、自分に襲い掛かる人形を振り払うので精一杯だ。 「まさか、あ奴の狙いは・・・!」 「パパーァッ!!」 人形の動きはすばやくはないが、見事に統率された動…
全員再び気を張る・・・。 洞窟の奥から確かに何かがやってきている・・・。 衣擦れの音・・・、無機的な足音、それも大量だ・・・。 ・・・こんな、こんな事が有り得るのだろうか・・・。 一同が目にしたのは、身の毛もよだつような恐ろしい光景だった・・…
再び鍾乳洞の中・・・。 「・・・メリーの様子がおかしい!」 レッスルの声が洞窟内に響く。 メリーはもはや、完全にその動きを停止していた・・・、 カラダをゆらゆら動かす事もなく、ギョロギョロ瞳を動かす事もない・・・。 おかしな表現かもしれないが、…
彼女は歩き始めた・・・、 懐かしい声のするほうへ・・・、 優しい声のするほうへ・・・、 賑やかで楽しそうな声がするほうへ・・・ 彼女は歩き始めた・・・! 「エミリィィィ! どこへ行くんだぁ!? そっちじゃないいぃ! やめるんだぁ!! 行くなぁぁ! …
・・・そこは何もない白い空間・・・、 右も左もない・・・、床はあるが天井もない。 ただ、メリーのヒールの音だけがコンサートホールの中にでもいるかのごとく、コツコツ響く。 以前と同じように、いくつかの扉の前には、 自分がかつて見知った人間の出来…
「い・・・一体何を・・・?」 義純達は当然、伊藤やマーゴ達の行動を理解できない。 そんな事には構わず、ライラックは距離が取れた隙に懐から拳銃を取り出した。 ガラハッドと義純で、人形の足を止められれば、頭部にさえ命中させる自信があった。 ・・・…
レッスルは黙って伊藤を見つめていた。 ・・・遺伝なのか教育なのかは分らないが、 おそらくこの父親の元に生まれたから、この新しい『リーリト』が誕生したのかもしれない。 エデンの園に生えていた禁断の木の実、「知恵の実」と「生命の木」・・・、 「知…
伊藤は、娘の言葉にただ驚くだけで、その言葉を正確に理解する事はできない・・・。 レッスルだけが、その言葉の意味を捉えていた。 (・・・恐ろしい才能じゃ、この状況下でそこまで見通せるとは・・・。 『リーリト』の力だけではないぞ・・・。 アダムと…
恐らく、ホーリークルセイダーの洗脳を解いた後でならば、 たとえ彼女達が死んだとしても、今のメリーは反応しないか、 「赤い魔法使い」へ攻撃を開始したかもしれない。 だが、ホーリークルセイダー達は、バァルへの絶対的忠誠心を備えたまま死んでしまった…
「豪剣の騎士」ライラックの耳元に、 小さく、 ・・・そしてはっきりした声が聞こえてくる。 「・・・もしもし・・・、わたし、メリー・・・いま、あなた達の上にいるの・・・。」 咄嗟にライラックが頭上を見上げる。 だが、彼がその「物体」が何であるか確…
アーハッハッハッハァ・・・! 突然、どこからか笑い声が響いてきた。 既に彼らは洞窟のさらに奥に足を進めており、 その声が聞こえてきた場所は、見渡しのいい場所ではある・・・。 しかしその笑い声の持ち主の姿は見えない・・・。 「レッスルおじ様・・・…
光はともかく、音響効果はまさしく殺人的だ。 耳を手で塞いでもあまり意味はなかったかも・・・、 いや、こんな場所でそれすらしなかったら、鼓膜が破壊されてもおかしくはない・・・。 マーゴも少し後悔したみたいだ・・・、 ライラックや義純の顔を、「ご…
しかもそれだけではない・・・! どこからともなく蝙蝠の大群がやってきて、 ライラック達だけでなく、戦闘に参加していない義純や伊藤たちをも襲い始めたのだ。 さすがに、これはライラック達もたまらない、 ガラハッドもロッドを振り回すが狙いを定める事…
ライラックたちは完全に後手に回ってしまった。 何しろ相手が女性という事で、攻撃ができないのだ。 しかも、ガラハッドに関してはロッドで彼女達の攻撃を受ける事ができるが、 ライラックの銃ではそれも適わない。ひたすらよけるのみだ。 そして彼らはすぐ…
その言葉を聞いて、義純、ガラハッド、ライラックの三人は背中の荷物を下ろす。 鮮やかな反応だ・・・、それぞれが利き腕に何らかの金属物を手にしている。 「義純は全員の言葉が分る・・・、レッスル様や伊藤さんたちをガードしてくれ・・・。」 職務上はラ…
先頭は義純が任されていた。 続いて伊藤親子、ガラハッド、レッスル、マーゴ、 そして殿をライラックが務める。 今のところ、義純にも危険なものは見出せない・・・。 鍾乳洞は、時折、道のような道でないような特殊な地形も存在する。 手をついて登らなけれ…
一定の方角から本当にカラスの鳴き声がする。 その声は、樹海の彼らが歩ける道に沿ったものではなかったが、 戸惑いながらも、確実に目的の洞窟の入り口にまで近づいていった。 そうこうしているうちに、いよいよカラスの声が頭上に聞こえるようになっていた…
青木ヶ原樹海・・・。 空気は冷たいが、風がないおかげか凍えるほどではない。 マーゴ達は相模原市内のショッピングセンターで、既にアウトドア用の衣服に着替えていた。 ライラック、ガラハッド、義純の三人はサバイバル用の大きな荷物を担ぐ・・・、 中に…
「ではこれから、富士方面に向かいますね、 麻衣ちゃんは今のうちに寝てもらった方がいいかもしれませんね。 ・・・それと伊藤さん、これ暗視ゴーグル。 麻衣ちゃんの分もありますけど、サイズが難しいと思うので、 この子はおぶっていかれた方がいいかもし…
・・・コツ、コツ、コツ・・・。 「暗いとこ・・・、周りは濡れてて、天井から固いものが垂れ下がってる・・・。 地面からも生えてる・・・。 あ、外に出た・・・。樹がいっぱいある・・・。 おっきな山も見える・・・。富士山・・・?」 伊藤が反応した。「…
老人は腰を曲げ、麻衣に視線を合わせる。 そして、杖の先端を床に軽く叩き始めた。 ・・・コツ、コツ、コツ・・・。 「お嬢ちゃん、よぉーくお聞き。 お嬢ちゃんには他の人には見えないものが見える、 未来の事が分ったり、遠くの事が見えたりする。 じゃが…
既に時刻は夜になっていた。 レッスルは、伊藤の隣に座っている麻衣に目を向けた。 「さて、お嬢ちゃん? いよいよ、君の出番じゃぞ。」 「何すればいーの?」 麻衣は不安そうにつぶやく。 「危険な事はないでしょうね?」 伊藤も静観してはいられない・・・…
あいたたたた・・・! 首の筋、違えた! 出かけるのも億劫だ、明日、回復してるのだろうか? あ、えー、ごほん、 みなさん、こんばんわ。 Lady メリーの物語はいかがでしょう? 2chのオカルト板を見ていた方は、ご存知でしょうが、 メリーさんの物語の舞台背…
「洗礼・・・と言ったほうが分りやすいかもしれんな? その後、わしはメリーを日本に送り、あの魔法使いに容易に見つけられんようにした。 そして彼女は今に至るまで、見事に冥府の王の使徒としての働きをこなしてきたよ・・・。 実際に不幸な死を遂げた者達…