Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリー最終章

Lady メリー最終章 最終話

・・・実はあれ以来、麻衣は毎日のように百合子と交信している。 元のメリーともできたぐらいだ、 実の母親と交信するのは、難しくもなんともないのだろう。 考えてみれば当然かもしれない。 おばあちゃんとも似たような事をしているらしい。 確かに恐ろしい…

Lady メリー最終章 第八十二話

「あー・・・、 麻里! 絵美里! ごはんだぞー!」 百合子のカラダには二人の女の子の魂が入っていた。 メリーと呼んでも良かったようだが、二人の嗜好が全く違うために区別する事になった。 食費は今までと変わらないが、服の好みが違うために洋服代が馬鹿…

Lady メリー最終章 第八十一話

「・・・それで・・・。」 「勇敢なる騎士」とまでうたわれたケイは、全ての書類に目を通してから話を続けた・・・。 「その『人形』は今後、危険はないと・・・? 『リーリト』とやらも、我々が動くべきものではないと、そういう結論なのかね?」 ライラッ…

Lady メリー最終章 第八十話

彼らの背後から、人形の百合子が声をかけた・・・。 「あなた、麻衣、新しい家族をよろしくね・・・。」 伊藤の目には再び涙が溢れてきた。 悲しい現実はどうしょうもない。 だが、遠い過去からの悲劇は、この場で終結を迎えるのだ。 可哀想な女の子の物語は…

Lady メリー最終章 第七十九話

人形は優しくつぶやく。 「あなた・・・、麻衣、・・・行ってあげて。」 伊藤は何が何だか分らず、本来の妻であるはずのカラダの元に向かった・・・。 息がある・・・? 生きてる・・・? これは!? 二人の父娘は、百合子のカラダであるはずの上体を揺する…

Lady メリー最終章 第七十八話

人形、百合子はカラダを離した。 ・・・黙って夫や麻衣を見つめる。 「泣かないで、麻衣・・・あなた。」 そうは言っても涙をとどめる事ができない。 「・・・もう、行かないと。」 「行くな! 百合子、人形だって一緒に暮らせばいいじゃないか! 今までと・…

Lady メリー最終章 第七十七話

麻衣は、泣きながら人形のカラダの母親にしがみつく。 伊藤ももはや、何も考える事ができなくなっていた・・・。 目の前の人形は、かつて麻衣と姿をだぶらせた可哀想な女の子ではない・・・、 自分が生涯愛すると誓った最愛の女性・・・。 「・・・百合子!…

Lady メリー最終章 第七十六話

「な・・・、それって・・・まさか・・・!?」 「彼女達がそうじゃ・・・。 かつてエデンにおいて、ヴォーダンから「生命の実」を食べた一族・・・、 バァルも言ってたじゃろう、『リーリト』・・・。 それが彼女達じゃ。 長い寿命を持ち、時にはイヴの子孫…

Lady メリー最終章 第七十五話

伊藤は自分の耳を疑った・・・。 馴染みのある声、いつも耳にする口調・・・。 ・・・そんな馬鹿な・・・。 間違うはずがない、だが・・・、そんな事があるはずもない。 しかし、伊藤は反射的に咽喉から出る言葉を押さえる事はできなかった・・・。 「ゆ り …

Lady メリー最終章 第七十四話

薄い灰緑色の瞳を見開いたまま、「赤い魔法使い」バァルの死骸がそこに横たわる・・・。 いつの間にか、白い蛇はその場から消え去っていた。 麻衣は、義純から伊藤に引き渡され、父親の体を抱きしめて放さない。 ライラック、ガラハッドは、他に襲ってくるも…

Lady メリー最終章 第七十三話

その瞬間、「人形」にかつてないほどの力が爆発した! 全ての留め金が外れたかのように、鎌の刃が一気にバァルの首筋に突きたてられる! 「・・・そっ・・・! そんなァァ!?」 「お前たち、今じゃ!!」 弾かれたようにライラック達は突進する! 左右の人…

Lady メリー最終章 第七十二話

蛇一匹など、「赤い魔法使い」バァルにとっては、別に驚くようなものでもなかったが、 その白い蛇は、彼に向かって何かを語りかけるようにも見えた・・・。 「・・・下種な欲望に汚された・・・ 全ての女性達に安らぎを・・・!」 反射的にバァルは後ろを振…

Lady メリー最終章 第七十一話

「やめてくれっ! 麻衣を放してくれたらなんでもするッ!!」 「だぁったらさっさと連れて来るんだよぉ!!」 マーゴが後ろを振り返って、ガラハッドにメリーの探索を指示しようとした時、 先程自分達がやってきた道から、足を引きずる音が聞こえてくる事に…

Lady メリー最終章 第七十話

「アーッハッハッハァ! 知らないのかいぃ! あいつの正体をををっ!? お前たちはアイツに利用されてるのさぁッ! アイツのご主人様が、誰だか知ってるのかぁぁぁああ? お前たちが悪魔と呼ぶもの・・・。 大いなる過去において、 神に逆らいぃ、地獄へ落と…

Lady メリー最終章 第六十九話

「パパァ!!」 「麻衣!!」 ・・・そしてその隣には、赤いローブを纏った男・・・バァルがそこにいた・・・。 義純もフード越しの顔は見た事があるが、その顔をはっきりと見るのは初めてだった。 大きく見開いた、色素の薄い灰緑色の瞳が不気味だ・・・。 …

Lady メリー最終章 第六十八話

確かに老人の安否は心配だったが、伊藤には先に進む事しか考えられない。 マーゴは必死で考えた・・・、 二手に分かれるべきだろうか? だとしたら、パパさん、ヒウラ、自分の組み合わせと、ライラック、ガラハッドか? いや、戦力を考えて自分の代わりにガ…

Lady メリー最終章 第六十七話

「待ちなさい! ライラック達やおじ様を待つのよ! 一人じゃ危ないわ!」 「しかし、麻衣が何されるかわからないじゃないかッ!! 父親のわたしが行かなくてどうするんだ!?」 この緊急事態に英語でなんて答えられない。 伊藤は日本語でまくし立てる。 「ヒ…

Lady メリー最終章 第六十六話

「パパァ!!」 「麻衣!?」 父親の後をついていた麻衣が人形達に捕まった! マーゴもレッスルも、自分に襲い掛かる人形を振り払うので精一杯だ。 「まさか、あ奴の狙いは・・・!」 「パパーァッ!!」 人形の動きはすばやくはないが、見事に統率された動…

Lady メリー最終章 第六十五話

全員再び気を張る・・・。 洞窟の奥から確かに何かがやってきている・・・。 衣擦れの音・・・、無機的な足音、それも大量だ・・・。 ・・・こんな、こんな事が有り得るのだろうか・・・。 一同が目にしたのは、身の毛もよだつような恐ろしい光景だった・・…

Lady メリー最終章 第六十四話

再び鍾乳洞の中・・・。 「・・・メリーの様子がおかしい!」 レッスルの声が洞窟内に響く。 メリーはもはや、完全にその動きを停止していた・・・、 カラダをゆらゆら動かす事もなく、ギョロギョロ瞳を動かす事もない・・・。 おかしな表現かもしれないが、…

Lady メリー最終章 第六十三話

彼女は歩き始めた・・・、 懐かしい声のするほうへ・・・、 優しい声のするほうへ・・・、 賑やかで楽しそうな声がするほうへ・・・ 彼女は歩き始めた・・・! 「エミリィィィ! どこへ行くんだぁ!? そっちじゃないいぃ! やめるんだぁ!! 行くなぁぁ! …

Lady メリー最終章 第六十二話

・・・そこは何もない白い空間・・・、 右も左もない・・・、床はあるが天井もない。 ただ、メリーのヒールの音だけがコンサートホールの中にでもいるかのごとく、コツコツ響く。 以前と同じように、いくつかの扉の前には、 自分がかつて見知った人間の出来…

Lady メリー最終章 第六十一話

「い・・・一体何を・・・?」 義純達は当然、伊藤やマーゴ達の行動を理解できない。 そんな事には構わず、ライラックは距離が取れた隙に懐から拳銃を取り出した。 ガラハッドと義純で、人形の足を止められれば、頭部にさえ命中させる自信があった。 ・・・…

Lady メリー最終章 第六十話

レッスルは黙って伊藤を見つめていた。 ・・・遺伝なのか教育なのかは分らないが、 おそらくこの父親の元に生まれたから、この新しい『リーリト』が誕生したのかもしれない。 エデンの園に生えていた禁断の木の実、「知恵の実」と「生命の木」・・・、 「知…

Lady メリー最終章 第五十九話

伊藤は、娘の言葉にただ驚くだけで、その言葉を正確に理解する事はできない・・・。 レッスルだけが、その言葉の意味を捉えていた。 (・・・恐ろしい才能じゃ、この状況下でそこまで見通せるとは・・・。 『リーリト』の力だけではないぞ・・・。 アダムと…

Lady メリー最終章 第五十八話

恐らく、ホーリークルセイダーの洗脳を解いた後でならば、 たとえ彼女達が死んだとしても、今のメリーは反応しないか、 「赤い魔法使い」へ攻撃を開始したかもしれない。 だが、ホーリークルセイダー達は、バァルへの絶対的忠誠心を備えたまま死んでしまった…

Lady メリー最終章 第五十七話

「豪剣の騎士」ライラックの耳元に、 小さく、 ・・・そしてはっきりした声が聞こえてくる。 「・・・もしもし・・・、わたし、メリー・・・いま、あなた達の上にいるの・・・。」 咄嗟にライラックが頭上を見上げる。 だが、彼がその「物体」が何であるか確…

Lady メリー最終章 第五十六話

アーハッハッハッハァ・・・! 突然、どこからか笑い声が響いてきた。 既に彼らは洞窟のさらに奥に足を進めており、 その声が聞こえてきた場所は、見渡しのいい場所ではある・・・。 しかしその笑い声の持ち主の姿は見えない・・・。 「レッスルおじ様・・・…

Lady メリー最終章 第五十五話

光はともかく、音響効果はまさしく殺人的だ。 耳を手で塞いでもあまり意味はなかったかも・・・、 いや、こんな場所でそれすらしなかったら、鼓膜が破壊されてもおかしくはない・・・。 マーゴも少し後悔したみたいだ・・・、 ライラックや義純の顔を、「ご…

Lady メリー最終章 第五十四話

しかもそれだけではない・・・! どこからともなく蝙蝠の大群がやってきて、 ライラック達だけでなく、戦闘に参加していない義純や伊藤たちをも襲い始めたのだ。 さすがに、これはライラック達もたまらない、 ガラハッドもロッドを振り回すが狙いを定める事…