Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

顔のない人形 その18

「そうなんだ・・・オレはてっきり・・・。」 美香はきょとんとして振り返って聞きなおす。 「てっきり・・・何?」 「いや、なんでもない、 ・・・ああ、この事件の謎がもう判明したのかなっ、て考えすぎただけ・・・!」 「・・・そんな簡単な事件ならいい…

顔のない人形 その17

タケルの怯えた表情に、美香は弟を安心させる。 「大丈夫、今の段階では危険はないはずよ、ビデオは撮れてるみたいね? ・・・ねぇ、気づいてたかどうか知らないけど、時々、テレビ・・・雑音入ったりしない?」 「え・・・? そういやぁ・・・時々。」 「録…

顔のない人形 その16

・・・タケルは無言で携帯を耳に当てる。 相手も何も喋らない・・・。 電話口からは、何か・・・ キュィーンと言うような、小さな音が聞こえる。 チューニングの外れたラジオのようだ。 意を決してタケルは口を開く・・・。 「もしもし・・・?」 だが、電話…

顔のない人形 その15

タケルはとりあえず、音楽番組をビデオで撮り始めた。 昨日の話では、テレビに話しかけた人間がいたそうだが・・・ドラマのほうがいいんかな? それより次の行動は・・・と、友人達に電話をかける。 まだ、今日子の行方の手がかりは全くつかめていない。 何…

顔のない人形 その14

「・・・いつも美香姉ぇはそうだよな? 父さんや母さんの時だって・・・。 オレがわんわん泣いてる時も、美香姉ぇはみんなの前じゃ涙一つ流さねーで・・・!」 美香が怒鳴りつける。 『何、言い出すの!?』 「分ってるよ・・・、オレがガキ過ぎたんだ。いつ…

顔のない人形 その13

『・・・アンタねぇ? 後先、考えて行動できないの?』 タケルは警察にこっぴどく搾られた後、予想通り美香にも電話で責められた。 『ふぅ、・・・今はそんなこと言ってる場合じゃないわね、 で、今日子ちゃんは見つからないの?』 「ああ、知り合い総動員で…

顔のない人形 その12

玄関の鍵は掛かってる・・・、 どうすればいい? 「あ・・・あの、お隣の方、すいません! ベランダに入れてもらえませんか!?」 誰が隣の住人かは分らなかったが、主婦達の視線は、少々の混乱の後、 一人の中年女性に注がれた。 「お願いします! 何かヤバ…

顔のない人形 その11

「あんの野郎、またつながらねぇ・・・! まだ寝てんのか?」 タケルはのん気にテレビを見ていた。 そのついでに電話をかけていたのだが、まだ事の重大さに気づいていなかった。 彼は機嫌悪そうに、だらしのない格好でニュースを見ていたが、 時々、画面が乱…

顔のない人形 その10

正午になった・・・。 駅前の雑踏は、昼休みのサラリーマンやOLでごったがえしている。 たくさんの車が交差点を行き交い、 駅前の商店は、呼び込みの声やパチンコの音楽で賑やかだ・・・。 歩いている途中で、携帯に耳をあてる会社員も少なくはない。 だが、…

顔のない人形 その9

美香もそれなりのお年頃なので、当然、男友達はいる。 だが、あまりの成熟度に、そんじょそこらの男ではまともに付き合えない。 タケルが言っているのは、比較的その中でも美香と親しい男性で、向こうもその気なのだが、 どうも美香の中では「いい人」止まり…

顔のない人形 その8

・・・翌朝、事件は急展開を起こす。 行方不明の少年少女たちが、無事に家に帰宅したのだ。 タケルは朝起きた後、念のために今日子の携帯に電話してみた所、 ぶっきらぼうな、彼女の声が返ってきた。 『・・・ああ? タケルルル・・・おはよ。 ・・・ふぁぁ…

顔のない人形 その7

深夜だと言うのに大変な騒ぎになっていた・・・。 普通なら、最後に会ったということで、 タケルも長時間、警察に事情を説明するハメになるのだろうが、 事件が多発しているために、係の者が追いつかない。 今では都内だけで、40件もの行方不明が報告され…

顔のない人形 その6

その少女は六本木周辺を歩いていた・・・。 あれはテレビ朝日だったかな・・・? 今、放映している番組がウィンドウの奥に見える。 少女は、ぼーっと歩きながら、吸い込まれるようにその画面を見つめていた。 一人の女の子が映っているようだ。 何でかわから…

顔のない人形 その5

「美香姉ぇ、やべー・・・アイツ職場に行ってねぇ・・・!」 タケルはオロオロと姉に訴えた・・・、でかい図体して情けない。 「何ですって? だって吉祥寺の駅で見送ったんでしょう!?」 「それは間違いねぇよぉ、最後はホームに立ってた・・・。」 「階段…

顔のない人形 その4

「たっだいまー・・・。」 「おかえりタケル、デート早かったわね?」 「・・・やーめーてよー、美香姉ぇ? そんなんじゃないってばよぉ。」 タケルは武蔵野市の自分の家に帰っていた。 この家には姉と二人だけで住んでいる。 二人の両親は、今から10年以…

顔のない人形 その3

「・・・おい・・・おい! 今日子! 大丈夫か!?」 タケルの声でふっと我に返る今日子。 ・・・一体自分の身に何が・・・? 「・・・あぁ、タケル・・・あたし、今、意識無くしてた・・・?」 「何、言ってんだよ? ほんの一瞬、ぼーっとしてただけだろ? …

顔のない人形 その2

「・・・んだよ? まぁだ怒ってんのか? 悪かったっつってるだろぉ?」 タケルは、先ほどの件で今日子をからかい過ぎたらしい、 電車の中でも謝ってばっかりだ。 「だってよぉ、普通のコマーシャルしか聞こえなかったぜぇ?」 今日子はそっぽを向いてふてく…

顔のない人形 その1

チャラララララァラァン♪ 着信だ・・・、流行のアーティストの新曲が流れる。 「なんだ? この電話?」 ギャルっぽい格好したその少女は、不審な顔して携帯を開いた。 「もーしもーし?」 ・・・雑音が多い・・・どっからかけてんだ? 『・・・もしもし、私メリーさん、…

マザーメリー 顔のない人形

いよいよ新章スタートです。 マリーやエミリーが解放されてから数年後、 新たな事件が東京で起きる! 新キャラ登場ご期待下さい。 ロリギャル・・・橋本今日子 しっかり者のお姉さん、・・・美香姉ぇ(みかねぇ) シスコンのプー、・・・タケル 主にこの三人…

Lady メリー最終章 最終話

・・・実はあれ以来、麻衣は毎日のように百合子と交信している。 元のメリーともできたぐらいだ、 実の母親と交信するのは、難しくもなんともないのだろう。 考えてみれば当然かもしれない。 おばあちゃんとも似たような事をしているらしい。 確かに恐ろしい…

Lady メリー最終章 第八十二話

「あー・・・、 麻里! 絵美里! ごはんだぞー!」 百合子のカラダには二人の女の子の魂が入っていた。 メリーと呼んでも良かったようだが、二人の嗜好が全く違うために区別する事になった。 食費は今までと変わらないが、服の好みが違うために洋服代が馬鹿…

Lady メリー最終章 第八十一話

「・・・それで・・・。」 「勇敢なる騎士」とまでうたわれたケイは、全ての書類に目を通してから話を続けた・・・。 「その『人形』は今後、危険はないと・・・? 『リーリト』とやらも、我々が動くべきものではないと、そういう結論なのかね?」 ライラッ…

Lady メリー最終章 第八十話

彼らの背後から、人形の百合子が声をかけた・・・。 「あなた、麻衣、新しい家族をよろしくね・・・。」 伊藤の目には再び涙が溢れてきた。 悲しい現実はどうしょうもない。 だが、遠い過去からの悲劇は、この場で終結を迎えるのだ。 可哀想な女の子の物語は…

Lady メリー最終章 第七十九話

人形は優しくつぶやく。 「あなた・・・、麻衣、・・・行ってあげて。」 伊藤は何が何だか分らず、本来の妻であるはずのカラダの元に向かった・・・。 息がある・・・? 生きてる・・・? これは!? 二人の父娘は、百合子のカラダであるはずの上体を揺する…

Lady メリー最終章 第七十八話

人形、百合子はカラダを離した。 ・・・黙って夫や麻衣を見つめる。 「泣かないで、麻衣・・・あなた。」 そうは言っても涙をとどめる事ができない。 「・・・もう、行かないと。」 「行くな! 百合子、人形だって一緒に暮らせばいいじゃないか! 今までと・…

Lady メリー最終章 第七十七話

麻衣は、泣きながら人形のカラダの母親にしがみつく。 伊藤ももはや、何も考える事ができなくなっていた・・・。 目の前の人形は、かつて麻衣と姿をだぶらせた可哀想な女の子ではない・・・、 自分が生涯愛すると誓った最愛の女性・・・。 「・・・百合子!…

Lady メリー最終章 第七十六話

「な・・・、それって・・・まさか・・・!?」 「彼女達がそうじゃ・・・。 かつてエデンにおいて、ヴォーダンから「生命の実」を食べた一族・・・、 バァルも言ってたじゃろう、『リーリト』・・・。 それが彼女達じゃ。 長い寿命を持ち、時にはイヴの子孫…

Lady メリー最終章 第七十五話

伊藤は自分の耳を疑った・・・。 馴染みのある声、いつも耳にする口調・・・。 ・・・そんな馬鹿な・・・。 間違うはずがない、だが・・・、そんな事があるはずもない。 しかし、伊藤は反射的に咽喉から出る言葉を押さえる事はできなかった・・・。 「ゆ り …

Lady メリー最終章 第七十四話

薄い灰緑色の瞳を見開いたまま、「赤い魔法使い」バァルの死骸がそこに横たわる・・・。 いつの間にか、白い蛇はその場から消え去っていた。 麻衣は、義純から伊藤に引き渡され、父親の体を抱きしめて放さない。 ライラック、ガラハッドは、他に襲ってくるも…

Lady メリー最終章 第七十三話

その瞬間、「人形」にかつてないほどの力が爆発した! 全ての留め金が外れたかのように、鎌の刃が一気にバァルの首筋に突きたてられる! 「・・・そっ・・・! そんなァァ!?」 「お前たち、今じゃ!!」 弾かれたようにライラック達は突進する! 左右の人…