Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

・タケル、美香~永遠の別れ

美香の願い 3

いやだ・・・! いやだ!! こんなの・・・こんなの嘘だ! 全部幻だ!! 誰か・・・誰か嘘だって・・・ 心臓の音はもう聞こえない・・・ まだカラダは暖かいのに どうして? なんでオレなんかをかばったんだよ? 「うぁあああああ、ねえちぁん・・・! ねえ…

美香の願い 2

既に美香の顔に変化はない・・・。 だが、弱々しくも彼女は腕を上げ、 タケルの頬に触れる・・・。 その指がタケルの涙で濡れた・・・。 「ふふ、泣き虫・・・なおんないね・・・。」 「そ、そんなこと・・・姉ちゃんが・・・姉ちゃんが・・・。」 タケルは…

美香の願い 1

さっきの青白い光や、天井を吹き飛ばした電撃のようなものは、今はどうでもいい、 まずはここから・・・ 「美香姉ぇ・・・?」 既に美香の腕には力が入っていない。 その剣も、彼女の右腕からはこぼれている・・・。 「おい! 美香姉ぇっ!?」 美香のぐった…

天叢雲剣 6

タケルにも何かの異状が起きているのが分った! 耳に聞こえるか聞こえないかのような振動音・・・! そしてその視界に、美香のカラダを包み込むかのような青白い光が・・・! いつしか、その光はタケルのカラダまでをも包み込み、 ・・・そして最後に、暗闇…

天叢雲剣 5

美香は頬をタケルにこすりつけるように動かした・・・。 「タケル・・・あなたに 渡すわ・・・。」 「なっ 何を!?」 「私が お父さんや・・・おじいちゃん達から受け継いできた全て・・・。」 「美香姉ぇ・・・こんな時に!」 「タケル・・・私のカラダを…

天叢雲剣 4

「なっ・・・! 美香姉ぇッ!! こ、っこれ!? 「タケル・・・あなたは無事・・・なのね・・・よかった・・・。」 「な、何いってんだよっ!! 早くここから出ないと!! 早く病院にっ!!」 「もう・・・ムリよ・・・ レスキューが来たって・・・間に合わ…

天叢雲剣 3

タケルは違和感を感じた。 何かがおかしい。 家が崩れてきた? 何で突然? いや、崩れてきたんじゃない、これは爆発? 違う! それよりも、今、気になるのは、 自分の耳元の、美香姉ぇの声・・・いや呼吸だ!! まるで・・・息すら辛うじて行っているかのよ…

天叢雲剣 2

腕を動かせ・・・! なんでこんな硬いものが回りに・・・チクショウ! 右手が自由に・・・、 クッ・・・!? タケルが腕を動かした途端、右手の皮膚が切れるような痛みが・・・! だが、そんな痛みはどうだっていい。 早くこの手を、 ・・・自分のカラダの上…

天叢雲剣

突然、 タケルたちのカラダが激しい衝撃と爆音に包まれる。 夜の静かな街・・・三鷹の閑静な住宅街に、全てを破壊するような大音響が沸き起こった・・・! まだ、人々が眠りに就くような時間でもなく、 近隣の者達が次々に窓を開け、玄関へと飛び出す・・・…

最後の時・・・5

「今はニュースはいいわ、消して! ・・・それで耳を済ませて・・・家の周りの気配を・・・!」 言われるままにタケルはテレビを消した。 まさか、なんでこんな時に侵入者が? それもこないだの外人のチンピラの時とは、美香の対応が違いすぎる。 それとも、…

最後の時・・・4

「ダメ・・・、携帯も探偵事務所も誰も出ない・・・!」 「そんな・・・!」 ガサッ・・・! 「・・・今の音は!?」 「庭のほうじゃねーか・・・。 ・・・ネコ?」 この辺にも野良猫なんていっぱいいる・・・、普通ならそう考える・・・。 だが、今は状況が状…

最後の時・・・3

美香の電話に、何かとんでもない単語が含まれている。 スサの全容すら知らされていないタケルには、ニュースの音声以上に電話に気をとられる。 ・・・もっとも、美香の電話はすぐに終わった。 タケルは心配して声をかける。 「・・・今のはスサの人?」 「そ…

最後の時・・・2

「ただぁいまぁ~。」 美香が帰ってきた。 声の様子からして、まだこのニュースは知らないだろう。 美香はダイニングの明かりを目指して、タケルの元にやってくる。 「今、帰ったわ、 ただいま、タケル・・・。」 タケルは「おかえり」も言えず、うろたえた…

最後の時・・・1

・・・ それからまた・・・数日が過ぎていた・・・。 タケルは大あくびをしながらテレビを見ている。 美香はスサの定例会で、今日は信州に出かけている。 いつもならもうそろそろ、戻ってくる時間だと思うが・・・。 パッパ! パッパ! 「なんだ? 臨時ニュー…

アヴァロン城 6

会議・・・そして夕食の後、今回の集会は解散となる。 ウーサーも軍の最高のポストに就いているため、長居はできない。 このまま少し休んだら、すぐにとんぼ返りだ。 ・・・彼は自らの居室に向かう。 その部屋の重い扉を開くと、 そこには一人の侍女がちょう…

アヴァロン城 5

長身で、紅く柔らかい毛髪の持ち主ライラックの提案は、 日浦義純の本意とは大きくかけ離れた所にある。 だが、ライラックのそのアイデアは、日浦のメンツを潰さない為である事は十分、理解できるし、 多分、これが一番現実的な方針ではあるのだろう。 ・・…

古城アヴァロン 4

「日浦よ!」 テーブルの別の席から大きな声が飛んだ。 黒いスーツを着た中年男性・・・南欧支部支部長ケイだ・・・。 「・・・お前にそんな権限などあるとでも思っているのか!?」 「は、い、いえ、申し訳ありません・・・。 ですが推薦する資格は持ってい…

古城アヴァロン 3

ウーサーは誇らしげだ。 「さすがは義純だ・・・、我々の期待以上の働きをしてくれる・・・!」 「恐縮です・・・。 最終的にどういう結果を招くかは、いくつかパターンを想定しましたが、 日本国の混乱を招く必要もないと思いましたので、 彼らの忌まわしい…

古城アヴァロン 2

もともと、久しぶりに会う仲間たちである。 本来なら、互いの近況や世間話で花を咲かす所でもあるが、 騎士団の緊急招集は、深刻な事態であったり、一刻を争う状況も考えられるため、 どうしても神妙な顔立ちになる。 全員が揃ったところで、 騎士団長・・・…

古城アヴァロン 1

そして・・・ここはイギリス・・・。 大きな湖に囲まれた古城アヴァロン・・・。 英国空軍幕僚長ウーサー・ペンドラゴンの別荘でもある。 年に数回、招集がかかると、 世界各国に派遣されている騎士団各支部長がこの城へと集まってくる。 普段でも、生え抜き…

美香姉ぇ 7

美香は顔も起こさず・・・手だけ振ってタケルに応えた・・・。 タケルはその言葉の真意を理解したわけではなかった。 単純に、美香の身を案じたことへの礼かと思ったようだ。 顔をこっちに向けないのも、 単に、こっぱずかしいだけなんだろう、 そう思うだけ…

美香姉ぇ 6

「・・・言ったろ? オレは美香姉ぇの味方だ。 オレが美香姉ぇ、押しのけて総代に就いちまえば、 美香姉ぇは自由の身になれるんじゃねーのかぁ?」 タケルもまだ、スサの総代に如何なる義務や資格が必要か、自覚できてるわけでもない。 事実、今、自分で言っ…

美香姉ぇ 5

本日二度目のスリッパがタケルの顔面に! マジでこれは痛かったらしい、タケルの目から涙が出てきた。 「わ、悪かった、ごめんなさい、もう言いません・・・!」 タケルも、自分で虎の尾を踏んでしまった事は理解できた。 もう、ほんとにこれ以上はヤバい・…

美香姉ぇ 4

タケルの目が光る。 美香も珍しく、自分の発言にうろたえてしまう。 「りょーかい・・・! 美香姉ぇの気持ちはわかったよ(白鳥さん、かわいそうに・・・)、 その気になったら、言ってよ。 立場がどうこう、言われたって、オレは美香姉ぇの味方するかんな?…

美香姉ぇ 3

「いいじゃあん? 別に嫌いな人ってわけじゃねーんだろ? 美香姉ぇだって女なんだから、 別に男の一人や二人ぐらい、いたって大騒ぎする事もないだろう?」 そしてそれはタケルの本音である。 姉が品行方正なのは結構だが、それよりも、普通の女の子同様の人…

美香姉ぇ 2

「・・・会場全体のセキュリティーは完璧に張り巡らされているわ。 言っておくけど・・・スサの科学技術はあなたの想像以上よ、 それより何を気にしているの?」 「あ、いや、こないだの探偵さんみたいな人がいるくらいだから、 いろいろ調べられたりする事…

美香姉ぇ 1

それから数日も過ぎただろうか? 平和な日々が続いていた。 つい先日、 外国人のチンピラ達に襲われた事とかも忘れかけていたし、 製薬工場で暴れまわった事も、過ぎた日の記憶になりかけていた。 相変わらず、タケルのバイトも決まってないし、 スサで何か…

緒沢タケル 伝授15

「お? 終わったのかい? お疲れさん。」 白鳥は応接間でテレビを見ていた。 ニュース番組をやっていたが・・・、 げ! 例の製薬工場の火災の報道だ・・・。 まぁ、特にやばい情報は漏れてないみたいだが・・・。 「あ、あの・・・、ええ、おかげさまで、 そ…

緒沢タケル 伝授14

実際、時間としては2分も経っていなかったかもしれない。 二人はどちらが先に、ということもなく立ち上がった。 「足は大丈夫?」 「ああ、なんとか、まだ感覚が変だけどどうにか・・・。 美香姉ぇは?」 「咽喉渇いたわ・・・、このまま着替えたら、お茶で…

緒沢タケル 伝授13

「・・・ふぅぅ~。」 「み、美香姉ぇ!?」 タケルも我に返って、美香に駆け寄る・・・って足が痺・・・! 「イテテテテテッ!」 「あははは、・・・座りっぱなしはつらいでしょ!? ・・・ておっとぉ?」 あまりの痺れに、タケルは思わず前につんのめり、…