Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

湖の騎士ランスロット 2

 
 サルペドンも時々、考えることはある。
(美香が生きていたら、今度の戦いにどのように対応していたであろうか?)
彼女の統率力・判断力は疑うまでもない。
だが、もし日浦義純と彼女が直接、剣を交えたら・・・、
想像するだに恐ろしいが、
たとえ勝てたにしても、彼女への精神的ダメージは計り知れないものとなるだろう。
その場合、一時的な勝利を収めたとしても、
その後の展開が明るいものになるとは言い切れないものがある。
そしてサルペドンはさらに、在りもしない仮定を考えてみた。

 (生前の美香は・・・そんな事も想定して弟のタケルをスサに迎え入れようとしてたのだろうか?)

スサ施設内、タケルと二人だって廊下を歩く途中、
サルペドンは振り返ってタケルの顔をのぞいてみる。
 「あ? なんだよ?」
そんなサルペドンの胸中を、タケルがもちろん、わかるはずもない・・・。
 「・・・いや、何でもない・・・。」
 「はぁ?」
サルペドンは首を戻し自嘲した。
 らしくない・・・。
 もう、過ぎ去った事、確かめもできないことに頭を煩わせるなんて・・・。
 他に考えねばならない事は山のようにあるのだから・・・。

 「ああ、サルペドン様、待ってましたよ。
 具合はどうだい、タケル?」
スサ科学技術部門の総責任者、デン・テスラである。
少し、ほっそりとした長身の男だ。
スサ独自の防備体制・迎撃システムは彼が開発・管理している。
なお、タケルは殆どのメンバーに呼び捨てにされている。
最初はなめられているせいもあったのだが、
これまでの活躍と実績が、
侮蔑的な呼ばれ方から、いつの間にやら親しみを込めたものへと変化していたのだ。
もちろん、サルペドンだけは何の変化も見せてはいない。