Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

湖の騎士ランスロット 1

 
 「傷の具合は大丈夫か?」
開口一番、銀髪交じりのサルペドンが確認したのはタケルの体調だ。
何しろ、連続で騎士団の支部長二人と戦ったのだ。
正直、ここまで幸先がいいとはサルペドン自身も思っていなかった。
戦闘訓練からのデータ、そして実戦・・・。
緒沢タケルがこれほどまでの活躍をしてゆくとは・・・。
メンバーの誰もが、
新参であるタケルを褒めあげ、持ち上げる中、
組織のナンバー2であるサルペドンは、相変わらずぶっきらぼうのままだ。
内心の驚きや喜びを、タケル本人の前では一切見せることもない。
今回も、まるで機械の具合でも確かめるかのような、感情のこもっていない質問だ。

タケルもそろそろ慣れてきてるので、
いちいちムカつくこともないが、相手に合わせ素気なく答えるだけだ。
 「ああ、問題ねーよ、
 打ち身とか切り傷はあるが、次の戦闘に影響を与えるものは何もねー。」
 「そうか、頑丈なカラダだな、
 なら、ちょっと付き合ってくれ。
 技術部門のデン・テスラからの報告がある。」
 「ああ・・・?
 あの垂れ目のおっさんね。」
別にサルペドン以外には害意もないのだが、自然とこの男の前では言葉使いが乱雑になる。
ただでさえ、今まで平和のぬるま湯に浸かっていた自分が、
いきなりこんな殺し合いを始めてしまったのだ。
精神的に不安定になるのも仕方がない。
「心構え」についてはサルペドンの刺激的なケアがあったのだが、
そう万事が万事、うまくいってるとも言い難い。
・・・いや、これだけでも十分、適応しているほうだろう。
ただ、それ以上に事態は深刻なままというだけなのだ。