湖の騎士ランスロット 3
サルペドンは椅子にも座らず、デンへの質問を開始した。
この素っ気なさはタケルに対してだけではなく、
どうやら、メンバー全員に対してのもののようだ。
タケルが一々つっかからなくなったのも、その辺りを把握でき始めたことに他ならない。
「それでデン、どうなんだ?
システムの完成具合は・・・?」
「はい、オデュッセウス部隊ヘクトール部隊に破壊された迎撃態勢はほぼ、
復旧を・・・というか、代替体制は終わらせています。
もう、この国の行政はまともに機能していませんからね、
今までみたいに隠したり偽装したりする必要もありません、
そこいらの手間が省けたんで、時間はかかりませんでしたね。」
「・・・ということは・・・。」
「はい、後は、この基地を移動させる・・・それの仕上げまでもう一息、というところです。」
ここまで黙って聞いていたタケルが驚いた。
「へ? この基地を移動?」
デンはにっこりとほほ笑んだ。
「へへ、・・・このままじゃ海を越えて戦いに行けないっしょ?
守っているだけでは何も解決しないしね。
この基地が出来上がってしばらくしたころから、計画は進められてきたんだ。
もう一息ってとこ。」
「え…?だって、ここって地下だろ?
あ、じゃ、他に基地が? 引っ越し?」
「いいや、この基地からは動かないよ、
この基地自体が移動するんだ。」
「そ・・・それってまさか、よくある・・・」
と、言いかけたところでサルペドンが遮った。
「詳しくは後でいい、
今、騎士団はアジア方面への足掛かりを失って、
しばらく我々に手を出せまい。
今のうちに完成を急がせてくれ、
戦闘部隊で動けるものも、手足のように使ってくれて構わん。」