Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

上陸 6

 
初老の神父は目を丸くした。
彼は兵士と二言・三言交わした後、
咳払いをして牢屋越しのツナヒロの前に立った。
そして神父の口から流れた馴染みのある単語・・・

 「・・・ゴホン、あー、あなた・・・聖書の 言葉 わかる ですか?」
ついにきたーっ!!
やっと英語を喋れる人間がいたっ!!
ツナヒロは歓喜の笑みを浮かべて神父に嘆願する。
・・・過去、これほど神父と言うものをありがたく感じた事はない。
この状況を改善させてくれるなら入信したっていい!
 「良かったぁ! 神父様!!
 この土地で初めて会話できる人に出会えた!!
 私はツナヒロ・スーク!
 腹を刺された男がドナルド!!
 ・・・そして・・・港で私たちの宇宙船にまだ一人、
 病気で神の元に旅立ったノートンという男がいます・・・。」
急いで喋りすぎてしまったようだ、
神父はとてもかなわん、という顔をして、両手をあげた。
 「あ、あああ、待ってくれ、
 私もあまりしゃべれない・・・、
 ゆっくり 頼むよ。」
やむを得ない、ツナヒロはもう一度、説明しなおす。
神父は通訳を兼ねて、兵士と会話している、
どうやらこの牢を出してくれるようだ。
とは言っても、尋問の形式には変わりない。
武器を持った兵士に監視され、小さな机のある椅子に座らされた。
兵士はさらに増え、
・・・といっても書記の代わりのようだが、ツナヒロの言動を全て書き写す役目のようだ。
とにかく一歩ずつ状況を改善しなければ!