Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

第十二話

 
こういう場合、朝田にとって取るべき手は一つしかない。
いきなり斐山をぶっとばさずに、徐々に間合いをつめて、
ゆっくり彼の胸ぐらでもつかみ、脅しあげてビビらせる。
 そうすりゃ、万事解決・・・!
朝田だって別に不良ってわけでもないのだ。
入学早々騒ぎを起こすつもりなんかハナからない。
そして彼はゆっくりと優一の胸元めがけて手を伸ばした・・・!

ガシッ!!

教室の誰もが意表を突かれる!
伸ばした朝田の手が、華奢な少女の手で阻まれた!
見れば隣のエリナが立ちあがって、朝田の手首をきつく握りしめてたのだ!
 「エ? エリナちゃん!?」
エリナの目が敵意を剥き出しにしてる・・・!
 「止めなさい!! 優一さんに手を出したら私が許しませんよ!!」

ええっ!?この状況ってなぁにぃぃぃっ!?
そう、思ったのは傍観者の加藤恵子だが、
クラス中の男女がほぼ同じ思いを生じさせているようだ。
一方、朝田は戦意を喪失せざるを得ない。
いや、
見れば斐山優一も・・・。
 「・・・このバカ・・・、何て発言を・・・。」
斐山優一は、姿勢こそ全く変えないものの、
その顔だけ・・・がっくりとうなだれてしまう・・・。

ちょうどいいタイミングと言うか、
誰もが次にどうアクションを取ればわからないこの時、
ガラッと扉が開いて担任教師が入ってきた。
 「おーい、ホームルーム始めるぞぉ?
 みんな席につけー。」