Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ガワンとの死闘

 
一目で分かる・・・。
この男は、今までタケルが戦った騎士たちとは全く異質・・・!
日浦にしてもライラックにしても、
・・・ランスロットですら、どこか線の細い・・・その信念にも迷いが感じられた。
だが、この重量級の男からは、その精神的脆弱性など微塵も受け取ることはできない・・・!

身長はタケルが完全に上回るが、
その横と縦の体格・・・、恐らく体重はガワンの方が上だろう、
スピードに優れていない事は容易に判断できるが、そのパワーは果たして・・・。
そしてその経験値も覚悟も・・・!!
 ガワンはその巨大な斧を構えつつ、
ゆっくり・・・ゆっくりと間合いを詰める・・・。
タケルの戦術としては、目にも留らぬ突進で、ガワンの反応が間に合わないうちに勝敗を決するか、
或いは、敵の一撃を誘い、その攻撃の隙を狙うかどちらかかというところか。
いずれにしても、あの凶悪な重量の斧と打ちあったら、確実にこっちの腕が持っていかれる。
それだけは避けなければならない。

未だ互いに間合いの外のせいか、ガワンは意外にも口を開いた。
 「・・・禍々しい姿だな・・・。」
 「あ?」
 「その鎧だよ、黒光りするその異様な材質に加え、
 兜から伸びる獣の角・・・全身に彫り込まれた気味の悪い蛇・・・、
 そして、両脇の人面・・・。
 スサの本質がその鎧に現れている・・・。
 邪神の末裔・・・。
 それがお前に、こんなにもよく似合っているとはな・・・。
 確かに我ら騎士団は壊滅寸前だが・・・、
 それでこそ我らの討ち滅ぼすべき相手だ。
 何の躊躇いもなく貴様を地獄に送れる・・・!」
短慮なタケルはその挑発に簡単に乗せられた。
勿論、ガワンのセリフは本音でもあるが。
 「・・・言いてぇことはそれだけかっ!?
 戦争に使う鎧なんて相手をビビらせてナンボだろうがっ!
 自分の行動に酔ってんじゃねーよっ!!
 思い知らせてやんよっ!!」