Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

地底へ 5

 
その間、体力のある男たちは周りを偵察に行く。
「草原」という表現がふさわしく、
辺りはなだらかな平地が続いている・・・。
いや、右手の少し先に小高い丘があるようだ。
自分達が降りてきた縦穴の背後は行き止まりになっていて、
進むべき方向は今のところ限定されている。
ただ、道らしい道がなく、どこまでも自由に行けそうな草原では、
いずれどこかで行き止まりになってしまうのではないか?
捕虜に聞いてみると、
とりあえず、このまま草原のど真ん中を突っ切れば、
オリオン神群の村に着くはずであるとは言っている。
だが、彼はこの辺りの者ではないようで、
その村が「誰」の管轄であるかは一切知らないようだ。
滅多に自分の暮らす村から出ないのであれば、それも仕方がない。

ここでは、スサの一団全員が、未知の領域に足を踏み入れたことで、
適度の緊張感と興奮、そして子供が感じるような期待感を抱いていたのは間違いない。
だが、敵が現れるかも・・・という心の準備ができていたにしても・・・、
この草花が生い茂る草原から、全く別の脅威が存在することなど、
誰も予想だにしなかった・・・!

・・・それは少しずつ接近していた・・・。

最初にその存在に気づいたのはマリア・・・!
 「・・・みんな! アレ何っ?」
彼女の声が向かった方向を全員、振り向く!
・・・何も・・・?
いや、何かの盛り上がりが動いてる・・・!
こっちにゆっくりと向かってくる。
人間ではない・・・他の、何か・・・。
周りの景色の色と保護色のため、視認できたのはあまりにも「それ」が接近してきてから・・・!
 あれは・・・!
頭の高さは3メートルにも及ぶかという・・・
尻尾までの体長は10メートルを超えるであろう、視るもの全てを身動きできなくさせるほど巨大なトカゲ!?
 「な、恐竜か、コイツは!?」
間違いなく、スサの人間たちに狙いを定めてやってきたのだ!
咄嗟に酒田が38口径の拳銃を二発撃ちこむ・・・!
だが、巨大トカゲの皮膚を間違いなく傷つけたものの、
ダメージを与えた気配はない!
固い皮膚が余りにも厚すぎる!!