妖しき歓待者 １４

　
　「うわああああああっ！？」
タケルの絶叫が辺りにこだまする。
差し出した手が壁にも床にもぶつからない。
腕どころか、膝や足すらも支える地面を見失っている。

　落下だ。
どこに！？
さっきまで壁だったと思ったのに、実は壁と廊下の間に隙間があったのか、
ちょうどタケルはすっぽりはまってしまったようだ。
光あるときならば、的確に柱や壁に手を捕まったのだろうが、
地理感もない今、この状況では・・・。
いや・・・むしろ手足は思うように動かなかった気が・・・。
てか、今そんな事を考えている状況じゃない、
下は！？
どこまで落下？
さっきの渡り廊下の高さと同じぐらいなら、下まで５メートルはあったような・・・。
やばい・・・。
暗闇で・・・この高さで・・・そして結構怪我だらけのタケルが落っこちたら・・・。
　ドガシャーーーンッ！！

・・・という音というより衝撃のショックを覚悟していた・・・。
骨の一本、二本はイカれるかも・・・という危惧もあった。
だが意外なことに、
何か地面に激突する瞬間、
柔らかいクッションのようなものがタケルを支えた・・・。
何かに触れた感触ではない。
イメージ的には女神アテナのサイコバリヤー、「アイギスの盾」に触れた感触・・・。
あれの「柔らかい」版だ。
おかげで、タケルはこの落下に関し、傷一つない。
天井からタケルを心配する声が聞こえる。
みんな慌てふためいてるのが愉快だ。
こっちは何ともないのに・・・。