Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

☆混沌のカオス

妖しき歓待者 52

タケル自身、もう自分が戦いの役に立たないカラダになっていることは承知している。 だが、今のサルペドンの言葉は、 翻してみれば、逆にサルペドン自身が、 どれだけ無謀な戦いに身を投じようとしているかを指し示すものである。 それを黙って見過ごすこと…

妖しき歓待者 51

タケルは自分の怪我の様子を改めて認識した。 この地下世界じゃあな・・・、 最悪、地上に戻ればそれなりの治療は出来ると思うが・・・。 「いや、サルペドン、オレの怪我は考慮してくれなくていいよ。 ここから先のことはアンタに任す・・・。 そのつもりで…

妖しき歓待者 50

そして、致命的なのは右膝だ。 関節が破壊されている・・・。 持参している治療用具では、 石膏で固めて悪化しないようにするのが精一杯で、 本来、切開手術を要するほどの怪我なのだ。 いくらタケルの回復力が化け物じみているとは言え、 関節や骨が間違っ…

妖しき歓待者 49

このまま、 この章を終わりにして、いよいよ最終目的地、 ピュロス王国王都ピュロスへと話を進めても良いのだが、 タケルが重傷を負ったために、しばしこのアグレイアの町に留まらざるを得ないので、 今度の戦いのその後の状況も記しておこう。 タケルにとっ…

妖しき歓待者 48

『旅人』と呼ばれた男も、あまり顔に表情は浮かべない。 そのまま首を縦に振り、 静かにゆっくりと部屋を出て行った。 それを見て、「狼男」は独り言のようにつぶやいた。 「もっとゆっくりしてりゃあいいのに、せっかちだなぁ、ヤツはよぉ・・・。」 再び黒…

妖しき歓待者 47

「黒の巫女」と呼ばれた女性は、 何の感情も浮かべぬ黒い大きな瞳で、その男を見下ろした。 男の誘いには全く興味はないようだ。 「『狼男さん』、・・・他の方々はいらっしゃらないのですか?」 狼男とはまた失礼な? 確かに男は下卑た感じで毛深そうだが、…

妖しき歓待者 46

タケルがカオスを倒した同時刻、 ここは地上・・・。 いや、地上とは言えないかもしれない・・・。 ヒマラヤ山脈の麓・・・。 その天険の要害の、さらに大地の下に、 通常の手段では決して足を踏み入れることの出来ない町がある。 その都市の中心部・・・、 …

妖しき歓待者 45

さけべ いかづち !! またもその電流は、タケル本人を巻き込んで放電するっ! だが、その最大破壊力は、真っ先にカオスの体内・・・内臓に注ぎ込まれているのだっ! これに耐えられる生物など存在しないっ! アバババッバアバババァハ・・・ッ カオスの眼球…

妖しき歓待者 44

勿論、互いに躊躇する暇などもうないっ! カオスは刃物の雨を! 十字架の枷から外れたタケルは、 両手の平から大量の血を床に流しつつ、 殆ど片足で跳ねるようにカオスに飛び掛る!! そして勝敗を分けた原因・・・。 それは恐怖・・・! 苦痛と怒りの凄まじ…

妖しき歓待者 43

「うおおおおおっ! てめぇ、この野郎っ!! もう指令なんてどうでもいいっ!! この場で息の根を止めてやるぅっ!!」 「ハン・・・! ようやく本性出したな、 どうせそんなこったろうと思ったぜ・・・。 だがなっ・・・、 こっちはさっきっから、ずっと怒りま…

妖しき歓待者 42

剣が突き刺さった痛みは遅れてやってきた! あまりにも突然の信じがたい出来事に、カオスの痛覚反応は鈍っていたようだ。 「な! な・・・こ、これっ バ、バカな・・・き・・・きき貴様がっ!?」 タケルは息も絶え絶えだが・・・、 その目の光はいささかも…

妖しき歓待者 41

「もう・・やめ・・・ろと 言ってるんだ・・・。」 「はぁい? 自分の立場、わかってるぅ~? やめろだってぇ~? もっと他に言い方はあるんじゃないかな~?」 「や・・・、やめてくだ さい・・・。」 身長2メートルの戦士タケルが許しを請う姿は、カオス…

妖しき歓待者 40

タケルの肩先から真っ赤な血液が噴出するっ! これ以上、踏ん張れないっ! 一気に力の均衡は破れ、槍の穂先がタケルのカラダにを貫いたのだ、 タケルのカラダは絶え間ない激痛にビクビクと痙攣し始めた! もう、・・・自分の意志では立っていることもできな…

妖しき歓待者 39

途端にカオスは首を傾けて大笑い始めた。 タケルは今も槍を押し返そうと必死になっている。 その為か、徐々に槍は向きを変えながら後ろに下がり始めた。 よし! このまま・・・! 「だがな!」 突然、カオスの眼光が煌く! そしてそれと共に再び槍の先端がタ…

妖しき歓待者 38

そうだ・・・! まだ一つだけ試していないものがある・・・。 それはヘファイストス戦でほんの一、二度、発現した新たな能力・・・。 もっともその後、どんなに試してみても、 実戦で使えるだけの力は起こりえなかった・・・。 だがハデス戦後・・・、美香の…

妖しき歓待者 37

地下室・・・いや、それは神殿全体に響きそうなほどのタケルの叫び声・・・。 タケルの体重は、後ろの組み木が支えているので倒れることはないが、 今やタケルは片足でカラダを震わすことしか出来ない。 「ち・・・ちく しょうぉ・・・!」 いったいどうすれ…

妖しき歓待者 36

もうタケルは声も満足に出せない。 蚊の鳴くような声で、息も絶え絶えにカオスに抵抗する・・・。 「こ・・・この先、 どうしよって んだ・・・。 てめぇ、な、なんのために・・・。」 「んー? さぁ? オレはキミを徹底的にいたぶるだけさ、 さっきも言った…

妖しき歓待者 35

「タケルくーん、さっき君が言ったように、全部いっぺんには操られないからさぁ? 片っ方ずつ、打ち込んであげるよ、 なぁに、ちょこっとチクっとするだけさっ。」 そのまさかか!? 見る見る巨大な杭は、空中を移動し、 タケルの右手のひらに、その凶悪な先…

妖しき歓待者 34

くっ、いっ、いってぇぇえ~ぇっ・・・ カラダがバラバラになりそうだ・・・。 骨盤あたり、ひびが入っているかもしれない。 だが、倒れている暇なんかありはしない。 痛みをこらえながら、 タケルは右手の先に落ちている天叢雲剣を、掴みなおそうと手を伸ば…

妖しき歓待者 33

「・・・なるほどね、 それで身を守りつつ、オレを追い詰めて、というわけか。 だけど、タケル君、 まーだ、オレの能力を理解してなさそうだなぁ?」 何故だっ? 何故、カオスはここに来ても余裕でいられるっ? だがこれ以上考える必要はない、 このまま雷撃…

妖しき歓待者 32

「うるせぇ! くだらねぇ揚げ足取りしてんじゃねーよっ! ・・・それにいい気になってるのも今のうちだ! オレはお前の能力の限界も悟ったぜ!」 タケルの言葉を聞いた瞬間、カオスの表情に変化が現れる。 どうやらタケルの判断に興味を持ったようだ。 「へ…

妖しき歓待者 31

カオスは今の迎撃方法を見て、心底感心したらしい。 「へぇ~、凄ぇ、凄ぇ、 ・・・そうかぁ、そんな使い方もあるんだぁ・・・、 やっぱ、お前凄ぇなぁ・・・。 なんとなく『上』が殺すなって言った意味がわかるなぁ・・・。」 ナイフを落とした勢いで、タケ…

妖しき歓待者 30

だが・・・すぐにカオスの言葉の意味は、タケルのカラダを以って知ることになる。 先ほど砕け落ちた貯蔵樽の残骸が・・・ タケルの視界の中で空中へと浮かび上がっていく。 それらはギシギシと嫌悪感をもよおす様な悲鳴を上げた後、 一本、また一本と、それ…

妖しき歓待者 29

「ん~?」 途端にカオスは笑い始めた。 「アッハッハッハッハ、複数の能力? まぁ、そう言われればそうかもしれないけどさ、 オレに言わせりゃオリオン神群のほうが歪なのさ! 仕方ないんだけどな? あいつらは自分たちの得意とする能力に磨きをかけ、 それ…

妖しき歓待者 28

これだ・・・。 この感覚・・・、 確かに上からこの場所に落下したときと同様の感覚だ。 だが、そんなことに納得している暇もない。 いま、タケルの視界の真ん中には笑みを絶やさないカオスの顔がある。 ところがそのカオスの背後に、 さっきまで彼が座って…

妖しき歓待者 27

タケルが驚く暇も与えず、眼前の槍が独りでに動き出すっ! 「危ねぇっ!?」 恐ろしいことに、槍はタケルの頭上に浮かんだかと思うと、 獣が襲い掛かるがごとく、その穂先がタケルの顔面に飛び込んでくる!! 剣で受け止めるのは至難の角度だ、 ギリギリでカ…

妖しき歓待者 26

何がどうなっているのか、さっぱりわからないっ? 「お・・・お前の能力は・・・い、いったいっ!?」 余りにも馬鹿げた質問だったかもしれない、 敵にわざわざそんなことを教える者などいないだろう。 だが意外にも、 プラチナブロンドを煌かせたカオスは、…

妖しき歓待者 25

そしてここは神殿の最下層・・・ タケルとカオスが対峙する地下室・・・。 敵の能力がわからない以上、後手に回るのは愚策だ。 相手の戦う意志さえ確認できれば十分っ! 「後悔するなよ? 戦うなら手加減しねーぞっ!?」 だが・・・カオスの余裕の笑みに変…

妖しき歓待者 24

サルペドンも、その忌まわしい感情に支配され、吐き捨てるようにしか答えを返せない。 「私にも判るものか!? 私たち以外に、誰がオリオン神群を攻撃しようなどと思うのかっ!? ・・・私のいない間に反対勢力でも出来ていたのか? いや・・・穏健派である…

妖しき歓待者 23

そう、 これらの死体は、恐らくこのアグレイア神殿にいた、全ての者を無差別に殺していった結果だろう。 だが、どうやって? 神殿の周りや建物に戦いの痕は一切見られない。 これだけの人数を、この広間から出さずに、 そしてどんな手段で殺して回ったのか?…