Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

妖しき歓待者 52

 
タケル自身、もう自分が戦いの役に立たないカラダになっていることは承知している。
だが、今のサルペドンの言葉は、
翻してみれば、逆にサルペドン自身が、
どれだけ無謀な戦いに身を投じようとしているかを指し示すものである。
それを黙って見過ごすことのできるタケルではない。
 「ちょ、ちょっと待てよ!
 そんな奴相手にお前、どうやって戦うってんだよ!?
 100年前だってコテンパンにやられたんだろ?
 じゃあ・・・!?」
サルペドンは笑ってタケルの言葉を遮る。
 「ふっ、案ずるな、
 お前たちは私の力もよく知らないだろう?
 少なくともこれだけは言える。
 私とゼウスの精神力はほぼ同等だ。
 タケル、お前のサイキックパワーが、仮に2から4にあがったとしよう。
 ・・・それも天叢雲剣や紋章の力を借りてな・・・。
 そしてヘファイストスやアテナが6から7としよう。
 ならば、私とゼウスはともに10だ。
 心配するとしたら唯一つ・・・。
 私たちの全力の戦いに巻き込まれないように、遠くに避難しているがいい。
 下手をしたら街や王国自体が滅ぶ・・・。
 だから、私もゼウスもこれまで積極的に戦いの場に出ることができなかったのだ。」
もうそれはタケルの想像の域を絶する状況になるようだ。
もちろん、タケルはこれまでの旅で得た知識をもって、
それでもサルペドンが不利なことは感づいている・・・。

 ポセイドンの能力ではゼウスに打ち勝つことは出来ない・・・。

恐らくサルペドンは、誰よりもその事を自覚しているはずだ。
きっとタケルやみんなに、心配をかけさせまいとしているに違いないだろう。
タケルは自分のカラダが、使い物にならなくなっている状況を悔しがるしかできないのだ。
ここまで来て・・・自分の無力さを痛感することになるなんて・・・。
そして決戦の時は近づく。