Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリー 新世界篇 出航11

 
 直接、戦闘行為を行っていない全ての者が、荒げた男の声に反応した、
ユージンやオブライエンでさえも・・・。
もっとも、そのマストに立っている女性が、人形メリーだと理解できたのはユージン、オブライエン、
その二人だけである。
 「あ・・・あれはあの人形!?
 どうして? あの部屋には鍵がかかってたんじゃないのか!?」
オブライエンは海賊達の方をにらみつけたまま、マストを見上げるユージンに説明する。
 「いえ、あの鍵は他の船員達を近づけさせないためのものです・・・、
 メリーはその気になれば、あんな鍵など容易く破壊できます。」
 「そ、そうなのか? でも、い、いったいどうしてここに!?」
黒いドレス姿のメリーを見て、手の空いた海賊達は、一目散にマストを登り始めた。
彼らの目的は決まってる。
力づくで彼女を組み伏せ、その欲情を彼女のカラダの中に発散させるためだ・・・。
生身の女性と違って、メリーが陵辱される心配はないが、
彼らが、マストの上の「女性」の正体を知れば、一体どんな反応を示すのだろうか?
・・・その時、ユージンは自分の目を疑った。
朝もやはそれほど濃いものではなかったが、
甲板から・・・何か白い塊のようなものが人形・・・メリーの方に立ち昇っていくのが見えたからだ。
その塊はゆっくりとだが・・・3つ・・・いや4つの塊となって、
足場を気にしながら登って行く海賊達を通り越していった。
そして・・・
それらの塊を待ち構えるかのように、
人形・・・メリーはその右腕を振り上げた・・・。
そのか細い右腕の先にはアラベスク文様の・・・

船上の空気を切り裂くように、モノトーンの人形「メリー」は叫ぶ。
 「・・・私の名はメリー、
 ・・・今、邪まなるお前たちの上に在る!
 我が右手に握られしは『死神の鎌』
 ゲリュオン!!
 ・・・虐げられし魂は今、お前たちを断ずる力に変換される・・・っ!」