Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

緒沢タケル 秘密工場へ34

 
 二人は部屋を出る。
 「日浦さん、・・・あいつら助けなくていいんですかね?」
 「助ける? 檻から出せって事?」
 「危なすぎ・・・ますかね?」
 「今の所、僕ら二人じゃどうしょうもないだろう、
 第一、檻から出したとして、彼らはどこに行くんだい?
 人間の知能と動物の本能・・・そんな危険な存在をどうしようってんだい?」
 「あ、いや、それはわかってるんすけど・・・。」
日浦は考える。
自分も「愚者の騎士」とまで呼ばれるほど、騎士団内では甘い男だと思われているが、
タケルに関しては自分以上だな・・・。
少し日浦の口元が緩んだ。
さ、最後のフロアに行こう・・・。

 チィン・・・。
 「あれ!?」
エレベーターの扉が開くと、この最下層のフロアには廊下の明かりがついていなかった。
非常灯というか、それに相当するかのような小さな電球が点灯しているだけだ。
さすがに二人とも、廊下の電灯スイッチがどこにあるかはわからない。
何しろ、今まで明るいところにいたのが、いきなり暗い廊下に出てしまったのだ。
しばらくは目が慣れない。
二人がエレベーターを降り、スィッチを探そうとした瞬間、
タケルはいきなり背筋が逆立つのを感じた・・・殺気!

反応は同時・・・いや、対応は間に合わない。
タケルの首を背後から締め上げる腕が現われた!!

 「ぐっ!?」
日浦も何が起きたか理解はできたが、暗がりの為すぐさま対応できない。
やむなく懐から大振りのサバイバルナイフを構えるのみ!
 「タケル君!!」
見ればゴリラのような大男が、タケルの背後でチョークスリーパーをかけていたのだ!