Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

緒沢タケル 秘密工場へ35

 
 「フーアーユーッ!!」
タケルの首をねじ上げるこの腕の太さ、声の位置、
紛れもなく、タケルの巨体に並ぶ体格の持ち主だ。
しかも相手がプロなら、タケルはあっという間に落とされてしまうはずだ。
日浦のナイフ捌きは達人の域にいる。
だが、もつれあう二人の一人だけを選んで攻撃するのは危険すぎる。
 どうすべきか!?
タケルは既に呼吸が出来ない、
・・・いや、それよりも血液が脳に届くのを止められている。
このままでは・・・!
 「・・・~っ!」
タケルは声すらも出せない。
だんだん意識が・・・
 (・・・ なめてん  じゃ・・ !)
タケルのカラダが弛緩する!
意識が飛んだのではない、最後の攻撃のためだ。
背後の男も油断したわけではない。
突然、ターゲットのタケルのカラダの変化に驚くが、
次のタケルの行動を読めるはずもなかったのだ。
   ぐにょっ!
男の股間に悲劇的な鈍痛が・・・!
 「グォゥゥッ!?」
こんにゃくのようにカラダを波打たせたタケルは、
足を折りたたみながら背後の大男の睾丸を蹴り上げたのだ!
通常の人間では気休め程度の反撃にしかならないが、
中国武術を身につけているタケルは、
こういった状況にも対応できる技を繰り出す事が出来るのだ。

・・・だがしばらくは呼吸が・・・!
タケルも大男もうずくまったまま・・・、日浦がこのチャンスを逃すはずもない。
もともと日浦は相手の命を奪うまでは考えていない。
片手でナイフを構えつつ、大男のガードマンにダッシュ
鋭いケリを叩き込むつもりだ!