Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

緒沢タケル 伝授3

 
 下まで降りきったタケルは、思わず姉の顔を見る。
 「何よ?」
ようやく、タケルも笑いがこみ上げてきた。
再び白鳥に向かって話しかける。
 「まだ姉貴には勝てねぇっすか?」
 「・・・無理! オレも後輩やら、お偉いさんの目があるところでやりたくないから、
 滅多に打ち合う機会はないけど・・・何度やってもダメだ!」
 「人を化け物みたいに言わないで?
 大体、亮、
 ・・・あなたはそう思い込んでるから、いつまでたっても殻を破る事が出来ないのよ。」
一応、美香より白鳥の方が年上である。
だが、まぁ幼馴染というほどでもないが、昔からの付き合いだ。
また白鳥も、スサに深く関わる立場であり、公上、美香は白鳥の目上の人間になる。
とゆうわけで、スサがらみの時はともかく、普段はお互いタメ口らしい。

一方、一人っ子で育った白鳥は、この二人の姉弟が好きだった。
弟のタケルと会うのは久しぶりだが、
こうやって、二人の家にお邪魔すると、まるで彼らの家族にでもなったかのような気がして、
単純に嬉しいのだ。
・・・恐らく美香と二人っきりだと、こんな彼女の姿は見れないだろう。
どこかよそよそしい普段の彼女と、
弟タケルに見せる、容赦のない説教だったり何気ない会話・・・。
・・・無論、彼も美香に心を惹かれている一人である。
だが、剣術でいまだ、美香を越える事ができないため、
彼もまた、積極的に行動する事が出来ないのだ。

 「じゃ、そろそろ、行きましょうか?
 あ、ちょっと、失礼するわね? すぐ来るから。」
タケルがぶっきらぼうに言う。
 「トイレくらい、先に済ましちゃえよ。」
 「・・・がう!」
美香はその場で、噛み付く振りをする。
こんな姿、外では絶対にお目にかかれない。