Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

緒沢タケル 伝授10

 
 そんな曰くありげなものがなんで、緒沢家に!?
 「ちょっ・・・、待ってくれよ!?
 もしかして・・・スサってぇのは・・・オレが考えてる以上に・・・。」
 「分る? 私たちが今まで受け継いできたものがいかに大きいものなのか・・・。
 それにまだ驚くのは早いわ・・・。」
美香は剣をタケルの足元に差し出しながら、詳細を説明する。
 「この剣の縁起は・・・覚えてるかしらね?
 私達の祖神・スサノヲが、ヤマタノオロチを成敗した時に、
 その体内から出現したと言われる伝説の剣・・・。
 どこまでが事実でどこまでが伝説か、・・・私にはわからないけど・・・。
 一つ確実な事は、この剣がどうやって作られたのか、
 いかなる金属組織で鍛え上げられたか、さっぱりわからないということ。」
 「ええ!?」
 「その気になれば、スペクトル分析などで、調べる事は可能なんでしょうけど・・・、
 大昔の鋳造技術じゃ、絶対に創り上げる事が出来ないのは確かだわ・・・。」
 「じゃあ、どうやって・・・。」
 「・・・青銅でも鉄でも鉛でもない・・・勿論黄金でもない。
 何らかの合金か、・・・
 かつては、これが伝説のオリハルコンとか何か騒がれたわ。」
 「オリハルコン?」
 「大西洋に沈んだアトランティスの物語よ・・・、真実性は・・・不明だけどね。」
その美香の言葉に酔うかのように、タケルは恐る恐る右手を伸ばす。
タケルの指が剣の柄を・・・
 
 ビリッ!

 「うおっ!?」
静電気? いや・・・違う、何だ、今の?
 美香の目がタケルの顔を覗き込む・・・。
 「それからね、タケル・・・この剣は普通の人間には持てないわ・・・。
 剣が拒絶するの・・・。」