Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

緒沢タケル 伝授9

 
もちろん、その姿勢はタケルも同様が、
・・・この空気・・・タケルは苦手だ・・・。
遠い昔を思い出すから・・・。
いっつもぶたれて、打たれて痛い思いをして家路に着く。
今や、多少の痛みにはへこたれないが、記憶だけはどうしょうもない。

さて、美香とタケルは2メートルと離れてない場所に、向き合って座っていたが、
美香は例の木箱の鍵を開ける・・・、独特のかび臭い匂いがここまで匂う。
蓋をゆっくりと外すと、幾重にも和紙で包装された長い物体が現われた。
・・・中身はさっき、聞いた・・・緒沢家のご神体の剣である。
美香の細い指が一枚ずつ、和紙を外す。
タケルの目も釘付けだ・・・。
そして、そこから現われたのは・・・、

 これは!?

いつの時代のものだ!?
てっきりタケルは、サビだらけの古臭い剣が出てくると思い込んでいた。
・・・とんでもない、サビなど全くない、
まるで作られたばかりの、黄金に朱色が差し込んだ不思議な色合い・・・、
柄と刀身は一体化しているようだが、
柄に掘られた文様は、確かに神代を思わせる渦巻き文様・・・。
握りの部分がやけに長い・・・。
 これが・・・!

 「これが、緒沢家が代々伝えてきた神剣・草薙の剣・・・
 別名、天叢雲剣よ・・・!」
この剣から、何かを感じる・・・!
気のせいかもしれないが、何か威圧感と言うかオーラのようなものというか・・・。
 「あまの・・・むらくものつるぎ?」
 「勿論、他言は無用、
 公には、愛知県の熱田宮にあることになっているんだから・・・。」
 「えええっ!? それがなんで緒沢家に!?」
 「こっちが本物・・・向こうは遠い昔にレプリカに変えられているわ。」