Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリーと異教の騎士24

 
一夜が明けた。
 「ふわぁぁぁあ・・・。」
ハロルドは自分のオフィスに出勤していた。
昨日のゴタゴタは、まるで夢でも見てたかのような、信じられないものだったが、
まぁ、なんとかなるだろう。

生まれついての楽観主義者の彼は、
どんな事態が起きても、
なんとか切り抜けていけると思い込む、根拠のない不思議な信念を持っていた。
実際、今までも、どんな窮地に追い込まれようが、
類稀な能力と、常識に囚われない自由な発想のおかげで、
何度も死線をかいくぐってこれたのだ。
かつて、騎士団の幹部とやりあったときも、
「決着をつける」のではなく、
「手を握る」ことで、いつのまにやら殺し合いをうやむやにしてしまった。
その才能は、狙撃や身体能力よりも、むしろ交渉術にあるのかもしれない。
ただ、その無責任とも思える飄々とした態度のため、
団体行動には適さないと、彼「本来」の所属する団体・・・多国籍軍事産業「デミゴッド」からは、
野に放たれた形になっている。
騎士団本部からは、ハロルドはデミゴッドを「脱退した」と認識されてはいるが、
決して無関係になっているわけでもない。
その主従関係は今も生きている。
・・・単に、デミゴッドにおけるハロルドの上官は、ハロルドを遊ばせておく方がいい、
と判断して、探偵業に就かせているのだ。
・・・そして、計算されての行動なのかどうかはわからないが、
ハロルドもまた、その状況を利用している。
彼の組織に「何らか」の異常事態が起これば・・・
それはその時、どうするか考えよう・・・!

他人に束縛される事を嫌うハロルドは、
全ての意味において、現状を楽しんでいる・・・。