Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリーと異教の騎士25

 
 ビーッ!
 来訪者が来た。
昨日電話があった中年女性だろう。
ハロルドはインターフォンに応じる。
 「はい、いらっしゃい?」
 「あ、あのう、ミスター?
 昨日お電話したモーリンという者ですが・・・。」
 「お待ちしておりました、今お迎えします。」
いつもはヨレヨレだが、珍しくパリッとしたシャツを着て、
サスペンダーはいつものままだが、
剃り残しの髭はしょうがない、それでも比較的清潔感ある印象をアピールしつつ、
玄関に客を出迎える。
 ドアを開けると、・・・あまり金持ちそうには見えないが、
どこにでもいそうな、普通の浅黒い肌の女性が現われた。
・・・ヒスパニック系だろうか?
あまり人種は気にしないが、金持ちかどうかは重要だ。
何しろ、ハロルドはデミゴッドは勿論、騎士団からも何の援助はない。
あくまで探偵業及び、その非合法的な部分に関わる副収入で生計をたてているのだ。
お客様は大事だ!
 「どうぞ、そちらへ・・・コーヒーはいかがですかな?」
 「あ、いただきます・・・。」
 「では、改めまして、
 私がここの責任者の、ハロルド・スミス・ピーターガンです、よろしく。」
普通に礼儀正しく彼は握手を求める。
もちろん、モーリンという女性にそれを拒む理由はない。
むしろ、ハロルドの柔らかな笑顔に気持ちを落ち着かせた・・・。
モーリンは笑いながら尋ねた。
 「ピーターガンて、昔のテレビドラマですよね・・・?
 お名前、本名なんですか?」
ハロルドはいたずらっぽく笑う。
 「まさか、・・・勿論、芸名みたいなもんですよ、このほうが客が来やすいでしょう?」