Lady メリーと異教の騎士３４

　
だが、その理屈なら、リジーは両親を殺しておきながら、
さらにその後も憎しみを抱き続けていたことになる。
・・・有り得ない。

人形百合子はそのままハロルドに注文をつけた。
　『ハロルド。』
　「お？」
　『悪いけど、リジーの犯行後の生活を調べてもらえないかしら？
　それと、何か彼女が執着しているモノがあったかどうか・・・、できる限り・・・。』
　「はぁぁ、わかったよ、ところで、アンタ予知能力があるなら、
　オレに危険が及んだ時も知らせてくれるのか？」
　『わかる範囲でなら・・・可能よ。』
　「ほぉぉ！　それを早く言ってくれよぉ！
　そんな便利な能力あるならオレも楽だ！」
興奮したハロルドは、トランクルームの被害状況を確認しようと思い、
携帯を耳に当てたまま、車の外へ出る。
百合子の方は、もう喋る用はなかったはずだが、ハロルドが身を翻した瞬間・・・、
またもや、あのお馴染みの喋り方が出る・・・。

　『ハロルド。』
　「ん？　なんだぁ？」
　『さっそくだけど、車の中に戻った方がいいわ・・・。』
いきなりかよ！？
　「あ？　ちょ、ちょっと待て・・・！」
誰かに狙われている気配はない。
この状況下では、車の追突でも・・・！？
ハロルドが前後左右を注意深く見回したが・・・、あいにく「それ」は頭上から襲ってきた・・・！

　べちゃ！

　「・・・。」
　『遅かったかしら・・・。』
ハロルドのお気に入りの帽子には、べっとりと雀のフンがこびりついていた・・・。
　「・・・次からはもっと早く言ってくれ・・・。」