Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

内務卿ジェリコ

 
  7.

 「・・・でも・・・それも意外ですわね?
 私はあまりヤズス会の内実に詳しくはありませんけど、
 今回の事件は、マグナルナ派の管轄でしょ?
 東方教会に助力を求めるなんて・・・?」
さっきので味を占めたアンドリューは、再びフラアの耳を求める仕草をした。
 ・・・もぅ、しかたないなぁ?

 「これも内密なんですが・・・。」
 「・・・?」
 「リチャードの屋敷から、邪教の魔術に関する物証が・・・。」
 「ええええええええっ!?」
(ああっ、フラア様はなんて可愛いんだっ!?)
 「・・・あの肉・・・いえ、リチャード氏がぁっ!?」
 「どうも、九鬼帝国と関わりがあるようなのです、
 それで、東方教会は九鬼でも布教活動は盛んですから・・・いろいろ情報が・・・
 と、そういうわけなのですよ。」
 「はぁ~・・・。」
フラアは驚きの連続で地が出始めていた。
口を薄く半開きにして、アンドリューを見つめ返すので精一杯。
 「ゴホン!」
そこで、不意に後ろから咳払いがした。
びっくりして後ろを振り向くと、深いしわを顔に刻んだ中年の男性が立っている。
内務卿ジェリコだ。

 「アンドリュー君、
 こんなところにフラア様をお引止めするのはいかがと思うがね?」
 「あ・・・、これは失礼いたしました! それではフラア様後ほど・・・!」

実はこの内務卿のジェリコという男は、本来貴族ではない。
類まれな勤務成績と幸運で、大臣クラスにまで出世した成り上り者である。
その為、他の貴族出身の閣僚とはあまりいい関係ではないが、
その分、平民出身のフラアには特別な思い入れがある。
フラアの方も、
まるでリスをいかつくしたような俗っぽい顔のおじさんに、親近感を覚えていた。
 
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