Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

・第二章 皇女フラア

明かせない本心

16. 「どうもリチャードは、奥さんにほとんど話をしていなかったみたい。 ・・・それで、已む無く先生は奥さんに例の顛末を話しちゃったんだって。 その時に、その幽霊がメリーと名乗っていた事を伝えたそうだから、 今、街中で噂になってるのは間違いな…

幽霊騒ぎの発端

15. アルベドは二時間ほどで帰って来た。 一言多いが仕事はきっちりこなす。 もっとも彼の望みは戦での活躍なので、こういう雑務は本意ではない。 「お姫様よ? なんか、面倒ごとなら任せてくれよ、退屈でしょーがねぇ。」 「だーめ! ここは平和な都ラシ…

大陸戦争の果てに・・・

14. ウィグルの遥か西方に、 「神に愛された国」宗教国家アルヒズリという砂漠の国がある。 今までしばしば「大陸戦争」という名前が出てきたはずだが、 その大きな戦の戦場となったのは、そのアルヒズリである。 ただ、何故ここで戦が起きたのか、それが…

西方の蛮人アルベド

13. 「アルベドー! いるー!?」 ここはフラアの私邸、その隣の兵舎。 彼女専属の私兵や軍馬、貯蔵庫などがある。 隣の棟とはいえ、召使に連絡を取らせればいいのだが、 内容が内容なだけに、できれば信頼できる人間だけで用事を済ませたい。 ・・・とは…

重くのしかかる不安・・・

12. それって、ナダツやアンドリューから聞かされた、気味の悪い幽霊の話だろうか・・・。 そういえば、この子達の孤児院はリチャードの家の近くだ。 「・・・それっていつ頃? 今も現われるの?」 「ニ月前ぐらい・・・夜中おてあらいに行ったときに・・…

青い瞳が浮かぶ幽霊

11. フラアは舌を出して笑ってみせる。 「あたしはフラアよ、お嬢ちゃんは?」 女の子はしばらく黙っていたが、そのうちフラアの笑顔に安心し始めたのか、 ようやく口を開いた。 「・・・あたし、リサ・・・。」 よっしゃー! 「リサちゃんね? 可愛い名…

フラアと遺児たち

10. きっと、この日のためにたくさん練習してきたんだろう。 子供達は、ピアノにあわせた合唱やお遊戯、朗読会など様々な出し物を繰り広げてくれた。 可愛いんだけど、これではどっちが慰問されてるんだか分らない。 もちろんフラアも、必死で考えた子供…

チャリティバザー

9. ヤズス会の来訪スケジュールは、 なんだかんだで延び延びになっている。 各方面のスケジュール合わせが難儀しているのだろう。 そして今日は、街の公民館に出向いてチャリティーバザーに参加する日。 親に捨てられた子や、戦争で父母を亡くした子供達の…

前兆

8. 「あら、ジェリコ内務卿? 」 ジェリコは深々と頭を下げる・・・。 「これはフラア様、今日もお美しいですな? ・・・しかし、あまりその美しさをふりまくと、いろんな虫達がまとわり付いてきますゆえ、 くれぐれもご自重なさいますよう・・・。」 「あ…

内務卿ジェリコ

7. 「・・・でも・・・それも意外ですわね? 私はあまりヤズス会の内実に詳しくはありませんけど、 今回の事件は、マグナルナ派の管轄でしょ? 東方教会に助力を求めるなんて・・・?」 さっきので味を占めたアンドリューは、再びフラアの耳を求める仕草を…

おめでたい話と不気味な話

6. その長く美しい黒髪は、真珠のように虹色の光を反射する。 両の掌に収まりそうな小さな顔、 小さな肩・・・、つぶらなグレーの瞳。 その唇はいつも、誰にでも薄く笑みを浮かべているが、 考え事をするときは、周りが目に入らなくなるほど、集中してしま…

アンドリューのときめき

5. 「ああ、フラア様、ちょうど良かった、今、お時間はございますか?」 定例の合同朝食会の後、 若い外務卿補佐のアンドリューが、宮廷内の大廊下で話しかけてきた。 「なんでしょうか? アンドリュー?」 ちなみにアンドリューは「普通に」かっこいい。 …

フラアの妄想

4. 「フラア様、なるほどでは済みませんぞ? ウィグルとイヅヌは戦場で何度か矛を交えましたが、 彼らと軍事同盟が締結できたのは、故ディジタリアス殿下と貴女様のご活躍なのですから、 今回の会談では貴女様がいらっしゃらないと、話になりません。 そこ…

のん気なフラア

3. 「それは私も聞いてはおりません。 ・・・あと、噂に付け加えるならば、 先日、心臓麻痺で亡くなった資産家の付近にも現われたってのもあったそうです。」 フラアの柔らかい肌に鳥肌が立っていく・・・。 彼女は思い出した、 ・・・あの肉デブ油おやじ…

幽霊騒ぎ

2. 「・・・フラア様、 これは宮廷内の身分の卑しい者達の間で噂になっている話です。 あまり王族の貴女様のお耳に入れるようなお話ではないのですが・・・。」 「気にしないで? みんなに喋らなければ宜しいのでしょう? 私の屋敷から出られないセザンヌ…

秘書官ナダツの憂鬱

1. 「メリー? 何ですの、それは? 人気爆発中のケーキの名前?」 「・・・いいえ違います、フラア様。食べ物ではありません。」 ウィグルのお姫様は、いきなり秘書官のナダツに冷淡なツッコミを喰らった。 ナダツは、皇女フラアに専従する秘書官だが、彼…

フラア・ネフティス 詳細設定2

第二章 皇女フラア 登場人物 フラア・ネフティス 町民育ちのウィグル皇女、副業医師、特技:乗馬・弓術 秘書官ナダツ 王統府所属の王族秘書官 性格生真面目 外務院補佐官アンドリュー フラアに惹かれている青年貴族、父親は元法務卿 内務卿ジェリコ 平民上が…