Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ある女性の苦悩

  
 1.

 ・・・私は何者なんだろう・・・。
いや、どう言ったらいいのか、
・・・私には名前が二つある。

私の記憶も二つある。
あの忌まわしい・・・地獄のような生活、ほんの少しの権力とささくれ立った心・・・。
もう一つは今の・・・、
美味しいものは食べられるし、五体満足だが、・・・身動きできない息苦しい生活。
友人もなく、恋人もなく、信じられる者もいない・・・。
どちらが幸せなのだろうか・・・。

いや、もし、誰かにこの事を話せば、誰もが今の現状に満足すべきだと言うかもしれない。
私自身そう思う・・・。
だが、それは、もう一人の記憶が存在しなければの話だ。
・・・それほど、私が過去に背負った業は重すぎる・・・。

私が今、新しい人生を歩んでいるのは・・・
過去の忌まわしい自分の行いを清算するためなのだろうか?
ならば自分は、こんな籠の中で、「奴ら」にいいように利用されるべきではない。
私は・・・この世に再び生を受けたことを感謝し、
やらねばならぬ事を遂行すべきなのだ・・・。
では、私の為すべき事とは・・・一体何なのだ・・・?

分っているのは・・・「借りを返さねばならぬ者」と、「対決せねばならぬ者達」・・・。
だが、「借りを返すべき者」・・・「月の天使シリス」はもはやこの世にいない・・・。
彼の死を確認した者は誰もいないが、
・・・そう考えていいのだろうか?

その代わり彼の子孫が・・・
音に聞くウィグルの「神の娘」フラア・ネフティス・・・、
彼女が度々の命の危険から脱出し、
大陸戦争でも重要な役割を果たしたのは、
天使シリスの導きか守護があったからなのか?
「奴ら」の狙いはそれぞれ違うようだが、
つまるところ天使シリスへの、逆恨みも言うべき復讐心が彼らを駆り立てている。
では、私の使命は・・・シリスの末裔、フラア・ネフティスを守る事なのだろうか・・・。