リインカネーション

　
　１５．

そんなランディの心を見透かしたように、ルシファーはランディに指摘する。
　「ああ？　そうそう、キミはご存知だよね？
　彼ら兄弟の一番下の子に、止めを刺したのはキミだろう？
　あのスーサの400年前の施設に繋がる洞窟で・・・！」

ランディの目が見開く・・・。
驚愕と恐怖・・・！
あの時・・・自分はあの化け物の襲来と攻撃に足が竦み、
始めは腰が抜けて一歩も動けなかったのだ・・・！

たいまつしか明かりがなく、
その時の無様な様子を、フラアや部下達に目撃されなかったのはとてつもない幸運だったが、
もし、あの時のみっとも無い様をみんなに見られていたら・・・。

ランディの動悸が早まる・・・。
そして・・・、
何故、この男はそこまで知っているのだ？
天使には知り得ぬ事などないのだろうか？
・・・だとしたら、この男は、
自分の・・・、精一杯取り繕ってはいるが、
自分の、本当は臆病で、どうしようもないほど情けない過去を持つ自分の事を・・・！？

　「ランディ君？」
　「は・・・はい！？」
　「思い出したかい？」
　「は・・・、あ、あの・・・、あ　」
ルシファーは優しく笑う、
ランディの怯えてることなど興味もないようだ、
いや、わざとそう、振舞っているだけかも・・・。

　「そう、化け物・・・、
　末の男の子には、肉体的形質の異常が発現して生れ落ちた・・・。
　だが、彼の兄と・・・姉は400年前、生きていた時の記憶・・・
　まさに生まれ変わりと言えるほどの精神を保持したまま復活してしまったんだ・・・。」