Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

・第四章 砂漠の国のランディ

天使の血を受け継ぐ者たち

25. 「そ・・・それでは全て・・・あなた様のご計画のうち・・・と・・・?」 「フッフッフ、勿論そうです、 大いなる昔、私が神々に磔にされたのも、 人間が神々の攻撃で滅びかけたのも、 400年前の大破局も、 今度の『天からやってきた災厄も』、 ・…

ランディの心の底

24. かつて、イルや九鬼・・・ そして一時は、神聖ウィグル王国正規軍の3ヶ国に襲われたアルヒズリを、 フラア・ネフティスという救いの御子が現れた時の、 アルヒズリの民の熱狂振りはあまりにも凄まじいものであった。 ・・・それこそ、もう一人の天使…

ランディの疑惑

23. 瞳の奥に懐疑の光を放ちながら、ランディは考えていた・・・。 (堕天使? 神々に逆らい? だが、今度の事ではアスラやシリスと協力して!?) この段階で間違いなく言えることは、 ランディの頭の中は、突然聞かされたいろいろな情報で錯綜していた…

堕天使ルシファー

22. 次の瞬間、ルシファーはとんでもない事を言い出した。 「フラアか・・・彼女には昨日会ってきましたよ?」 「は・・・ハァ!? き、昨日ですか?」驚く老王エア。 「え・・・たった一日でどうやってこの距離を!?」理解できないのはランディも一緒だ…

天使の末裔 ランディとフラア

21. 「そ、それは?」 「・・・間もなく、ウィグル王家のアイザスに婚姻の話が持ち上がる・・・。」 「な、なんと!」 「アルヒズリにしても、今からそれなりの準備をしておけば間にあうだろう、 相手はイズヌの重臣の娘だ。 うまくいけば、これで大陸の3…

先見の明を持つ者

20. 「ランディ君?」 「・・・は、・・・ハッ!?」 しかも、こちらの考えてる事を見透かされているような・・・。 そういえば、ウィグルの天使シリスにもそういった能力があると・・・。 い、いや、今は、この場をどう取り繕うか・・・!? 「あ、あの…

ランディの直感

19. 二人を衝撃が襲う。 落ち着いていたはずの老王にも、驚きの顔は隠せ得ない。 エアが叫ぶ。 「に・・・人間を神にですと!? そのようなことが可能なのですか!?」 「もちろん、キミらが寿命を迎えるまでに可能な事じゃない・・・。 まだまだ、しばら…

ルシファーの目的

18. 「ランディ君?」 「は、はっ!?」 「・・・とりあえず、ここまでがキミの疑問への答えだ。 それとエア王・・・。」 「ははぁーっ!」 「ここから先は、私の本当の目的のために活動を始めます・・・。」 「ははっ、もし、この愚昧なる国王に協力でき…

解けた封印

17. 「デミゴッドのメンバーの一人に適性が合致したのは、 その羊飼いのカラダであり、 転生の術は無事に成功したといえる。 その為、羊飼いの精神は、外から無理矢理注入された亡霊の魂に侵食され、 ・・・うん、まさしく食われたと表現すべきだろうね?…

復讐の亡者

16. ここで、しばらく黙って聞いていた老王エアが、ルシファーに問いかける。 「そ、それでは九鬼にはそのデミゴッドの亡霊が復活していると、 そう仰るのですか!?」 「そう、彼らの目的はバラバラだけど、 共通の目的が一つある。 それは400年前、自分…

リインカネーション

15. そんなランディの心を見透かしたように、ルシファーはランディに指摘する。 「ああ? そうそう、キミはご存知だよね? 彼ら兄弟の一番下の子に、止めを刺したのはキミだろう? あのスーサの400年前の施設に繋がる洞窟で・・・!」 ランディの目が見開…

甦る記憶

14. ルシファーの話は続く。 「・・・だが、戦いはそこで終わらなかった・・・。」 「えっ!?」 「デミゴッドとの争いの最中、 彼らの頭目の一人、エクトーラという女性が子供を生んだ。 その娘はラヴィニヤと名づけられ、 生き延びたエクトーラの配下に…

四人の使徒

13. 「わ・・・私に、何か!?」 ルシファーは少し、会話に間を取っていた。 これからする話の方が重要とでも言うのだろうか? 「・・・『天からの災厄』も、400年前の天使達の争いも、 もう、終わった事だし、この辺でいいだろう。 ここからは、キミら人…

サクリファイス~生贄

12. 「・・・それで、私たち天使・・・シリス・・・アスラ、 そしてこの私の目的はそれぞれ違うのだけど、 今度の事件、 即ち人間が、自分達の手で、この大地を守り抜いた事は、 一つの実績を作ったこととなり、 天空の者達との間で、契約の内容は新たな…

ルシファーの算段

11. 「それが・・・預言なのですか? 何故に、肉体を手に入れることができないと・・・?」 「太古の昔、神々の間で争いがあり、 アスラ王も私も、この地上に現れる事が出来ないよう、 戒めの鎖に縛り付けられた。 私は精神を遊離させる能力は保持し続け…

天使達の契約

10. 「勿論、天空の者達も『それ』の存在に気づかなかったわけではない。 だが、大地の底に眠るアスラ王の本体・・・、 彼の真の意図に気づいた後では、もはや全てを認めるしか・・・、 いや、アスラに協力する事しか、彼らは出来なかったのだ。」 ここで…

アスラ王の遺産

9. ランディーの問いにルシファーが答える。 「うん、勿論、それは関係あるよ、 だが、大事なのは天使である彼らの関係性だ。 片や、人間の肉体を保ち、その能力の一部のみ封印を解き、 スーサを治めたアスラ、 そして片や、完全に復活しながらも、天使の…

400年前の大破局

8. 「・・・では、キミらもご存知だが、 これまでの話を整理しようか・・・。 ここ、数十年・・・いや、このアルヒズリが建国される以前から、 北方の遊牧民族との間で様々確執があったのは、説明もいるまい・・・。 いや、その程度の話は、別にこの国に限…

ルシファーの目的

7. 「ハ・・・! も、申し訳ありませぬ! つい・・・!」 だが、相変わらず天使を名乗る男は余裕のある顔つきのまま・・・。 「いいんですよ、エア王よ、・・・それにあなたもそれは聞きたかったのでは?」 「こ、これはお恥ずかしい・・・左様ですな、 貴…

光の天使ルシファー

6. 老王は、厳しい目をランディに向けたままゆっくりと喋る・・・。 「そう、当然、余以外の者には認識できぬ事なれど、 余は予知能力者ではない・・・。 神の御使いから、未来の出来事を教えてもらってるだけに過ぎない。 ・・・察しの良いそなたにはもう…

預言者エア王

5. 常に温和な表情のエア王が、かつて無いほどの厳しい顔をしている。 ランディは何がなんだかわからない。 目の前の男は、宮廷内の閣僚でもなければ貴族でもない。 もちろん、王の親族にもこんな男はいないはずだ。 ランディがとまどっていると、金髪のそ…

そこにいた侵入者

4. その場にいた三人は一瞬固まってしまった・・・。 あまりにも意外な王の言葉がかかったからだ。 侵入者などいなければ、こんな時間に腹心とは言え寝室に呼び寄せるはずもない。 侵入者がいるのなら、何故こんな呑気な声を出す? ランディや衛兵は、互い…

寝所の前での騒動

3. 「ラ、ランディ将軍・・・? 何を仰るのです? 誰もおらぬではないですか? 先程から我らはずっとここにいるのですよ、 侵入者が立ち入るなどあり得ません!」 何だと・・・! 「馬鹿な!? たった今、私は陛下の寝所の扉が開き、金髪の男が中に入って…

王宮内の異変

2. ランディは宮廷の見回りを終えた。 後は自室に戻って寝るだけである。 しかし、その時彼には妙な胸騒ぎがあったのである。 ・・・さっきの声は空耳だったのか・・・? 彼はそれが気になって眠れなかった。 彼は外套を羽織って、もう一度宮殿を見回るこ…

砂漠の国アルヒズリ

1. ・・・ランディ ・・・ランディ 「? ・・・誰か私を呼んだか?」 ここは砂漠の国アルヒズリ・・・。 宮廷内を警備していた将軍ランディは、不意に自分の名を呼ぶ声を聞いた。 「・・・いえ? 私は何も聞こえませんでしたが・・・。」 従者はきょとんとしなが…

第四章設定資料

第四章「砂漠の国のランディ」 過去の史料 400年前の繁栄していた世界の事は、伝説でしか残っていない。 現在の人々にも分る文字でつづられているのは「ウィグル王列伝」があり、 ウィグルのみならず、大陸中の多くの人々に読まれている。 元々「ウィグル…