Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

語られない物語その・・・3桁めぐらいの3

 
あざみは自分の目を疑った・・・!
いや、目の錯覚だったのだろうか?
振り返った男の瞳が、
黄金色(きんいろ)に輝いていたからだ・・・。

 いや、・・・そんなことはない・・・普通の黒い瞳だ・・・。
何故、そんな風に見えたのか?
あざみは動揺を隠しながら、嬉しそうに答える・・・。
 「・・・かっこいいわね、兵隊さん・・・? 
 この辺りの人じゃないみたいね・・・、
 黒十字軍? それとも、ヒミコのヤマタイ軍・・・?」
互いに警戒は解かないままだ、
お互いを怪しく思っている、・・・当然だろう・・・。
それでも、あざみはその細い指を男から離すことはない・・・。
鎧の上からでも十分だ、
いや、その鎧の隙間から、たくましい筋肉の塊が見え隠れしている。

 温かくて・・・とても硬い・・・。

思わず、その隙間に指を這わせたくなる衝動に駆られる・・・。
これは食欲というよりも・・・、
女性としての本能なのだろうか・・・。
男はあざみの指の動きを拒否するでもなく、勝手に遊ばせている。
その気になれば、あざみはその指で男の皮膚を切り裂き、肉をついばむことも出来るのだが・・・、
「そっち」の衝動との境は判別しづらい・・・。

そして男はゆっくりと答える・・・。
 「・・・どちらでもない、女・・・お前こそどっちだ? ルードヴィッヒの手下か・・・?」
あざみも勘のいい女だ、
男の喋り方で、少なくともこの男が、黒十字軍に敵対意識を持っていることだけは理解した。
 「あら、奇遇ね? 私もどちらでもないわ?」
 「どちらでもない? ここは激戦地だろう? 女一人でどうやって生きてるんだ?」
 「うふふ? 私は人を食べて生きているの、
 こういった場所なら・・・、
 少々、人間が消えても目立たないでしょう? 
 大丈夫・・・あなたのことは食べようなんて思わないわ、
 だから、見逃してくれる?」
男は少し考え込んでいたが、しばらくして再び口を開いた・・・。