語られない物語その・・・3桁めぐらいの8
ここはヒマラヤ山脈の麓、地下王国シャンバラ・・・。
だが、いまやその住人は姿を消し、
ルードヴィッヒ率いる黒十字軍がその広大な都市を占拠していた。
そして、施設中央付近にあるその管制室・・・。
「ネロ様!」
白いシャツに袖を通したネロは、部下の一人からの報告を受けていた。
「カンボジア方面の司令部から、不審人物の照会の依頼が来ております。」
「人物照会? データは我が軍のデータにある物か?」
「いえ、データには存在しない人物です。
ただ、報告からすると、全く無名の人間とは思えません、
非現実的ともいえる戦闘能力と、異世界の産物とも思える出で立ち・・・。
名前は『アスラ』と名乗っているようですが、
こちらも恐らく偽名かと・・・。」
「ああ、それはそうだろうが・・・、何と言って来てるんだ?」
「はい、・・・まず、我が軍とヤマタイ軍の戦闘中、形勢不利になった我が軍に、
突然、斑の馬に乗り、異様な黒い鎧を身につけた男が乱入。
そして、古めかしい三叉の槍を以って、
敵将の首をあげた後、あっという間にヤマタイ軍を蹴散らせてしまったとのこと。
その男が通過した後には・・・砕け散った死体しか残らない、という凄まじい暴れぶりだそうです。
その後、我が軍に参入したいとの意志を見せ、司令官のホセ様が一目で気に入り、
その男を将校の地位に任じてしまったということです。」
「ん? 問い合わせは誰からなんだ?」
「副司令官のサインが入ってます。
恐らく、ヤマタイ軍からのスパイを疑っているのでしょう?」
「なるほど・・・どれ? 映像はあるのか・・・?」