Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

語られない物語その・・・3桁めぐらいの10

 
 「・・・ということなのですが・・・ルードヴィッヒ様。」
地下王国シャンバラの暗い宮殿・・・。
華やかな装飾が壁や天井に彩られているが、
照明が薄暗いために、その全貌は肉眼では捉えにくい・・・。
今、ネロの眼前には、黒十字団・・・いや、
黒十字軍総統ルードヴィッヒが、その宮殿の玉座に君臨していた・・・。
 そしてその脇には、
黒い巫女カーリーが静かに控えている。
ネロの報告を聞いたルードヴィッヒは、静かに考え込んでいた・・・。
 自らの考えを述べようと、ネロは先に口を開いた。
 「その男は我らの敵である、と、現地の司令部に伝えましょうか?」

ルードヴィッヒはさらに考え込んでいたが、
脇を見上げてカーリーに話しかけた。
 「カーリーよ、お前が『視る』ことができたのは、
 『ヤツ』がヤマタイの領地に、パートナーと共に立ち入る所までだったはずだな?」
 「はい、その通りです、
 あの女ヒミコも、わたしと同じ感知能力を持っていますので、
 そこから先は私の能力では探知できません、
 それは、向こうも同じことなのですが・・・。」
 「そして、以来、『ヤツ』の消息は不明となる・・・。
 また、ヤマタイ軍の戦闘において、雷の剣を使役するものが現われた・・・これがほぼ同時。
 これは何を意味するのか?」

カーリーは少し考えてルードヴィッヒに返答する。
 「もし・・・あの女ヒミコと、天叢雲剣を持つあの男が手を握り合ったら、
 それは我が黒十字軍にとって計り知れない脅威です。
 現状では、ヤマタイ軍で雷の剣を使っているのはヒミコの弟。
 もしこれがヒミコの姦計なら・・・。」