Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

語られない物語その・・・3桁めぐらいの11

  
 ルードヴィッヒは自問するかのように答えを返す・・・。
 「天叢雲剣と、それを振るうための『紋章』は、
 『ヤツ』にとって最愛の肉親・美香の形見だ・・・。
 例え一時でも、それを『ヤツ』が手放すだろうか?」
 「ではルードヴィッヒ様は、『ヤツ』とヒミコが決裂したことが、この結果であると?」
 「フム? 想像でしかないな?
 だが、面白い!
 私の計画を外れた所で、面白い展開が繰り広げられている、
 良いではないか、
 『ヤツ』が我が軍でどんな働きをするか試させてもらおう、
 ・・・援軍は派遣しない。
 ネロよ、現地の司令部には、
 『その男、ルードヴィッヒ直属の最強なる戦士、ただし極秘扱いのため、
 例え、司令部内に於いても、みだりに口にするべからず』
 ・・・そう伝えておくがいい。」
 「は! では直ちに!」
そしてネロは退廷する。

立ち尽くすカーリーは、ルードヴィッヒに視線を投げかけた。
 「ん? どうした、カーリーよ?」
 「いえ、・・・ルードヴィッヒ様、お教えいただけませんか?
 スサや騎士団の残党どもが、いまやこのシャンバラの周辺に集まり始めております。
 その気になれば、いつでもその反乱の目をつぶしておけるのに、
 何故、放っておかれるのか・・・?
 もし、今『ヤツ』が天叢雲剣を失っているのなら、今が彼を叩き潰すチャンスです。
 今なら『ヤツ』を・・・!」
 「ではカーリーよ、一つ聞くが・・・
 今の『ヤツ』の姿を・・・お前の能力で、視ることが出来るのかね?」
 「えっ? そ、それは・・・、私にも・・・、
 こ、これは『ルドラの鎧』の効果ですか!?
 まれで暗い闇を覗いているような・・・!?」
 「神剣天叢雲剣など・・・どうでも良いのだよ・・・、
 『ヤツ』の本質とは何も関係がない・・・。」
 「で、ですが、これまで数々の戦局を決してきたのは、天叢雲剣の雷の能力ではないのですか?」