Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

緒沢タケル第四章その49

 
サルペドンは兜の部分を台座から外し、タケルに手渡す。
・・・思ったほど重くはない。
しかし、見れば見るほど奇妙な造りだ・・・。
面の左右の部分には、それぞれ不気味な顔が彫られている・・・。
まるで阿修羅像だ・・・。
 「ま、まさか、かぶれと・・・?」
 「やばいと思ったら外せ・・・、
 なに、ここには大の大人が二人もいるんだ、
 いざとなったら、首を切断してでも外してやる。」
サルペドンは真顔で恐ろしい事を言う、
本人はギャグのつもりなのだろうか?
タケルは恐る恐るかぶってみた・・・。
もう少し、慎重に行動すべきだとも思ったのだが、
・・・不思議とこの兜からは、何故か懐かしい感じがしたのだ・・・。

顔にはすっぽりはまる・・・、重くも感じない。
一体、どんな金属なのだろう・・・。
気分が悪くなるどころか・・・寧ろ高揚していくような・・・。

 「今のところ・・・、問題ないすよ・・・。」
サルペドンとクリシュナは目をあわせた。
二人とも、本気で驚いているようだ。
 「サルペドン様・・・、タケル殿のお父上はここまでも・・・できませんでしたが?」
 「・・・そうだな、あの方は手に取った瞬間、叫び声をあげてしまわれたのだが・・・!」
ええっ!?
 「ちょっと、いい加減にしろよ!
 そういうことも全部、先に言ってくれよっ!!」

急いで兜をはずしにかかるタケル。
だが、サルペドン達はまだ驚いているままだ。
もっとも、驚愕の感情とは平行しながらも、思慮深いサルペドンは思考を巡らしている・・・。

 (どういうことだ?
 スサが結成されて以来、まだ、誰もこの鎧に近づけないのに・・・。
 確かにクリシュナ家で伝えていたこの防具を、緒沢家の出自の者が扱えるというなら・・・、
 それはそれでアトランティス伝説の一つの証明にはなる・・・。
 だが、・・・それをこのタケルが・・・? 
 いや・・・、まだ、結論は早い・・・。)