Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ランディ プロローグ6

 
 「おーい、ランディ、
 今夜はロゼッタ、空いてるかい?
 明日の昼前ぐらいまで頼みたいんだが。」
 「やぁ、シディキさん、久しぶり。
 ああ、今夜なら彼女は大丈夫だ、
 商売、うまくいったんですかい?」
 「ヒッヒッヒ、おかげさんで高値で売れたよ、
 家に戻る前に自分にご褒美をやらんとな?
 ロゼッタにもお土産買ってきたんだ。」
 「そぉりゃ彼女も喜びますね、
 じゃあ、仕度させてますんで、先にお部屋に入って休んでてください、
 ・・・えーと、今は2番の部屋がすぐ入れるかな、こちら鍵ね?」

中には柄の悪い客もいる。
当然、そんな時もランディの出番だ。
一対一なら誰にも負ける気がしない。
幼い頃から厳しい家庭で武芸の訓練を受けてたし、
実際、今までケンカで一度も負けたことはない。
巨漢の兵士だろうが、手のつけられない酔っ払いだろうが、
ルールを乱す客には容赦しない。

この館や女性たちを守る事こそ、自分の存在意義である。
彼にとっては、先祖の名よりこの館の住人の方がはるかに大事であったのだ。
故にレイチェルに「俺たちは家族だ」と言ってのけたのは、
常々、彼が思い続けていることで、決して大げさではない。
仕事そのものは下賎なものかもしれないが、
これだけの身寄りのない女性たちを守り続ける事・・・、
それだけが彼、ランディの誇りであったのだ。