Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

・第五章ランディ プロローグ

ランディ プロローグ最終話

「私が そ・・・そんなっ!?」 「全ては予定されていたことじゃ・・・。 そなたが着ている鎧・・・『ルドラの鎧』も普通の人間には纏う事もできぬ! ・・・そなたの初陣の時に黒雲と雷が起こったな? あれも偶然ではない。 それらが起き易い気象条件は勿論…

ランディ プロローグ61

なんだって!? ランディは一瞬、何のことか分らなかった。 斜視眼のせいか、はっきり王の視線の先はわからなかったが、 顔の向きは明らかに自分に向けられている。 キョロキョロ左右を見渡すと、重臣達も自分に驚愕の視線を向けている。 い、いったい、これ…

ランディ プロローグ60

「実際、イルがその遺産を手に入れられたとて、 その封印を解くことは出来ぬ・・・。 アスラ王は、何者にもそれを奪われぬようにしておるのじゃから・・・。 余が夢の中で、神の御使いに示されたもの・・・、 それはその、アスラ王の封印を解き放つ事ができ…

ランディ プロローグ59

当然、周りの武官達が騒ぎ出す。 彼らの予見に反した王の言葉に驚愕しているのだ。 ランディにしてみても、自分の街を蹂躙された事への憎しみは大きい。 沸き立つ心を抑えられずに王に問い返す。 「い・・・一体何故にあんな街を・・・!?」 「これまでイル…

ランディ プロローグ58

「さて、ランディよ・・・、 そなたへの褒章・・・及び、これからの役職については、おってまた詳細な決定がされるであろう。 それより、いま・・・ ここには宮廷の重臣達一同が控えておる。 ちょうど良い機会じゃ・・・、 お主も・・・ここにいる全ての臣た…

ランディ プロローグ57

エアの言葉が続く・・・。 「ランディよ、 この余が、若き頃、そなたの祖父と交遊を暖めておったのは聞いておったのか?」 「・・・は? ははっ、 いえ、あの・・・聞いてはおりましたが・・・、 その、私めが幼い頃には、すでに祖父は羊飼いの仕事を生業に…

ランディ プロローグ56

「ランディ・・・と申すか・・・!」 置物のように身動き一つしなかったエア王が、初めてランディに声をかけた。 「は・・・はいっ!」 「そなたの祖父・・・シャルローズは元気でおるか・・・!?」 「はっ・・・は・・・、いえ・・・。」 今頃ランディは思…

ランディ プロローグ55

小柄な老人の姿からも、 この国を治めてきた圧倒的な威厳は、初対面のランディでさえも感じ取れる。 左右の笑顔を浮かべる貴族達とは対照的に、 この赤い絨毯の一直線上にいるエア王とランディ・・・、 彼ら二名だけが神妙な面持ちで向かい合っていた。 段取…

ランディ プロローグ54

案内人は、そんなことは気にしてないようで、 笑ってランディの質問を受け流す。 どうやら、今、宮廷の人間はみんなハイになってるようだ。 少々の無礼講は許されるらしい。 ・・・だが、 ランディはそんな気分にはなれない・・・。 いまだ、自分がこうやっ…

ランディ プロローグ53

パッパカパッパッパー♪ ドンチャンドンチャン♪ アルヒズリ王宮に音楽隊の行進! テルアハの街を襲ったイルの大群を、一人の死者も出さずに蹴散らした戦果は、 あっという間に国内に伝わった。 しかもエア王の預言で示された若き戦士が、たった一騎で戦況をひっくり返した…

ランディ プロローグ52

一瞬戸惑ったのは、ランディも同様・・・、 だが、すぐに標的の位置を再確認・・・驚愕の表情を浮かべたままの指揮官を・・・! 「うわあああああああっ!!」 ランディの横薙ぎが、指揮官の頭蓋を真っ二つに弾き飛ばすっ! そして一気にランディは、総崩れ…

ランディ プロローグ51

イル兵の指揮官も、ようやく後方から近づく影の正体を察知した。 元々イルの軍は、組織だった命令系統もしっかりしてるとは言えない寄せ集め・・・。 適当にテンデンバラバラ動くことが殆どだ。 指揮官も、部族の中で高位の者だと言うだけで、 部隊編成能力…

ランディ プロローグ50

・・・そして、 そんな雷など気にも留めぬ男がここにも一人・・・。 背後に黒雲と稲妻を従え・・・、 真っ黒な「ルドラの鎧」で身を包んだランディが・・・、 全身全ての筋肉・細胞を活性させて、たった一騎でイル兵の軍勢のど真ん中に駆け出したのだ!! バ…

ランディ プロローグ49

城壁の前では、およそ8000からなるイルの騎兵が、執拗なる波状攻撃を繰り返していた。 梯子隊というものは、彼らの概念には存在しないらしく、 城壁を登られる事はなさそうだが、 鉄球部隊が城門や壁をも破壊し、弓矢兵がアルヒズリ兵に雨霰のように矢を…

ランディ プロローグ48

遠くからも地響きが聞こえる・・・。 大勢の騎馬の群が、テルアハの街壁を襲っているのだ・・・。 城壁を固めたこの街は、そうそう落ちる事はないだろうが、 防戦一方ではいずれ・・・。 「・・・それで伝令は何と!? 援軍は来ないと言うのか!!」 「それ…

ランディ プロローグ47

その騎馬は、この小さな街をゆっくりと闊歩していた・・・。 馬に乗った男は兜こそ外していたが、 この国では見られない奇妙な黒い鎧を纏っている。 背中には裾にフリンジのついた厚手のマント・・・ 髪はオールバックにしつつ、長い襟足を結わえている・・…

ランディ プロローグ46

これまで、アルヒズリに訪れる不幸を未然に防いできたエア王の預言・・・。 それは神出鬼没のイルの軍勢の接近を予知したり、 伝染病の蔓延を防いだり・・・。 もちろん、預言は不定期に訪れるので、 為政者側としては、知りたい情報全てを得られるわけでも…

ランディ プロローグ45

「おのれ・・・! 何故、あのような遠方の小さな街までも・・・!」 「直ちに、復旧部隊を派遣せねば・・・!」 「しかし、わからん・・・! 北方の山岳地帯からクエタに向かうまでには、 途中、多くの都市が点在しているはずだ・・・。 なぜ、そちらを襲わ…

ランディ プロローグ44

・・・広大な砂漠地帯の中でも、 大きな河川と湧き出る泉に恵まれた肥沃な土地・・・、 その中で、遠方からも目立つ大きな尖塔・・・。 隆起した土地に巨石を積み上げて建造されている壮大な城・・・。 アルヒズリの王宮である・・・。 その宮廷の主・アルヒ…

ランディ プロローグ43 伝説の鎧

・・・だが、冷静さまでは失ってはいないランディは、 次に爺さんの最後のセリフを思い出した・・・。 納屋の地下倉庫? そういえば入っちゃいけないと、子供の頃教わったような・・・。 ランディは爺さんの死体をそこに置き去りにし、 そのまま納屋に向かう…

ランディ プロローグ42

その時、ランディの視界に祖父の首元の鎖が映った・・・。 そう言えば、胸に血筋を証明するものが・・・だと? ほとんど無意識にその鎖をたぐる・・・。 祖父の胸元から現われたのは、 装飾品とも思えない直径10センチ程度のメダル? ランディがそのメダルの…

ランディ プロローグ41

・・・そのまま、 シャル爺さんは目を見開いたまま・・・、 全ての動きを止めてしまった・・・。 呼吸も・・・心臓も・・・眼球の動きでさえも・・・。 最後の力を振り絞って・・・愛する孫に全てを伝えたのだろう・・・。 爺さんは前のめりに・・・孫ランデ…

ランディ プロローグ40

「さらばじゃ!! ランディッ・・・!!」 「ゥ・・・ワァアアアアッ!!」 ザクゥッ!! ・・・ ・・・・・・ 「・・・あ?」 剣を握るランディの手に嫌な感触・・・、 そして自らの意識はあるのに痛みがない・・・。 ・・・彼は目を瞑ってしまっていた・・…

ランディ プロローグ39

こ、このパワーは何だ!? いまや、自分のほうが体格もでかく、 力仕事だって毎日繰り返して、筋力もアップさせているはずなのに!? 続く老人の連続攻撃に、辛うじて剣先を合わせれるが、 どんどんランディは後退して行く・・・、 その瞳には驚愕と恐怖の色…

ランディ プロローグ38

「な・・・!?」 見えなかった? な、なんだ今の太刀筋は!? 「・・・まだ怒る事はできるんじゃな? だが、剣の刃を見せ付けられただけで、すぐにまた臆するのか!? ・・・なんという無様な有様よ・・・!」 ランディの心にまたも臆病さが顔を覗かせた・…

ランディ プロローグ37

もたもたしていると、そのまま爺さんはランディの背中に蹴りを入れる。 余りの力に、ランディは地面に転がり土ぼこりが舞った。 「な・・・何しやがんだよっ!?」 顔を振り向いたその瞬間、ランディの元に鞘ごと剣が投げられる。 「お・・・おい?」 「我が…

ランディ プロローグ36

「貴様! ・・・わしはお前がここを飛び出ようと、 売春宿なんぞで働こうと文句は言うまいと思っていた! 『誇り』だけはしっかり教え込んだとおもっとったからな!! ・・・それがどうじゃ! 怯えたのか!? 恐ろしくなってしまったのか!? 殺すことにか!…

ランディ プロローグ35

・・・ランディにとって、一番聞かれたくない質問が来た。 嘘を言っても良かったのだが、 今の彼にそんな余裕はなかった。 ・・・いや、むしろ、誰かに聞いてほしかった、 自分を責められてみたかっただけのかもしれない・・・。 「いや・・・誰もだ・・・。…

ランディ プロローグ34

「ああ、・・・シャル爺さん、 クエタに行ってたのかい・・・?」 「・・・チーズや干し肉を売りに行ったんだが、あれじゃあ商売にならんからな、 タダでくれてやったわい・・・。」 ランディの、中途半端な誇りや正義感といったものは、 この爺さんや、死ん…

ランディ プロローグ33

かつて知ったる自分の家、 ランディはすぐに食料庫に向かって、干し肉やら油やら食材を見つけた。 母屋は閉じられているが、作業小屋でも火をおこせるし、簡単な鍋や釜もある。 すぐさま、ランディはありったけの食材を鍋にぶっこみ料理を作る。 何も考えず…