Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ランディ プロローグ60

 
 「実際、イルがその遺産を手に入れられたとて、
 その封印を解くことは出来ぬ・・・。
 アスラ王は、何者にもそれを奪われぬようにしておるのじゃから・・・。
 余が夢の中で、神の御使いに示されたもの・・・、
 それはその、アスラ王の封印を解き放つ事ができる者の存在についてのことなのじゃ・・・!」
 「そ・・・それは・・・!?」
 「・・・あの偉大なる天使の血を継ぎし者。
 破壊の天使アスラ・・・、
 そして月の天使シリス・・・。
 その二人の血を受け継ぎし者が封印を解く・・・!
 それが、余が神の御使いから聞いた言葉じゃ・・・。」

宮廷内を異様な空気が包む・・・。
これまでのイルの侵略に関する話題は、どれも重大かつ深刻な問題であったが、
下手をすると、それよりもさらに恐ろしい事態が起こるかもしれないからだ。
そして王の話は続く。
 「さて・・・ではその封印を解き放つ天使の血筋とは何か?
 シリスの血統については問題あるまい。
 現在、遥か東の神聖ウィグル王国には、
 シリスの子孫が王位を継承しておる。
 予言に示された者が、
 ウィグル王のことなのか、王族の誰かなのかはまだ分らぬが、
 交渉がうまくできるのなら・・・おのずとその人物が誰を指すのか明らかになるであろう・・・。
 そしてもう一人・・・。」
そこで列席中の家臣が声をあげた。
 「陛下・・・!
 畏れながら・・・、アスラ王の子孫は・・・、
 全て死に絶えたはずでは・・・!?」
 「いいや!
 おる・・・、それも余の目の前にな・・・!」