Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ランディ プロローグ59

 
当然、周りの武官達が騒ぎ出す。
彼らの予見に反した王の言葉に驚愕しているのだ。
ランディにしてみても、自分の街を蹂躙された事への憎しみは大きい。
沸き立つ心を抑えられずに王に問い返す。
 「い・・・一体何故にあんな街を・・・!?」
 「これまでイル族は、単純に我々の富や食料を狙っておった・・・。
 当然、自分達の狙いのつけやすい北側の街を中心に略奪を試みていた。
 だが・・・彼らは我等の富より・・・さらに大きな物の存在を知ってしまったのじゃ・・・。」
 「そ・・・それは?」
 「その前に余から問いかけよう、
 ランディよ、
 400年前、・・・この地には何があった・・・?」
 「は?
 400・・・年前、ですか?
 そ、それは・・・かつて大陸の半分を制圧していたアスラ王のスーサのことでしょうか・・・?」
 「その通りじゃ、
 スーサの首都はここより東・・・、
 もちろん、今や廃墟と化しておろう・・・。
 だが、そのスーサの領地のどこかに、
 あのアスラ王が残した莫大なる遺産が眠っておるとしたら何とする・・・!?」
これまでで一段大きなざわめきが宮廷内に起こる。
どの閣僚達も初めて耳にする衝撃の事実なのだ。
だが、王は構わず話を続ける。
 「・・・イル族どもが、どんな確証を持って、
 アスラ王の遺産を知ったのかは、わからぬ。
 ただ、言える事は、奴らがそれを狙って、東の地に拠点を作り出そうとしている事。
 ・・・そして勿論、我々はそれを許してはならん・・・!
 誰よりも早く・・・!
 それを手に入れねばならんのだ・・・!」
 「そ・・・そのような事が・・・。」
 「しかしな・・・、
 話はここからなのじゃ・・・ランディよ。」
 「は、はっ!?」