Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

九鬼帝国 5

 
激昂するツナヒロを兵士たちが取り囲んだ!
あっという間に机の上に組み伏せられてしまう。
 もうどうにでもしろ!
ツナヒロは、何か訴えるような視線を神父に向けるが、
神父もどうしてよいやらわからず、うろたえるばかり。
兵士のリーダーらしき男はツナヒロに手枷をつけて拘束させてしまう。
ツナヒロは再び牢へ閉じ込められることとなった・・・。

彼はひとり、牢の壁にもたれかけて力なく、うなだれる・・・。
ドナルドに何て言えばいい・・・、
モートンの亡骸をどこに埋めてやればいいんだ・・・。

考えがまとまらない・・・いや、その気力すらない・・・。

するとそこへ先ほどの神父が水差しを持って再びやってきた。
 「・・・ツナヒロさん。」
ツナヒロはゆっくり神父と視線をあわせる。
 「さ・・・先ほどは興奮してすみません・・・。」
 「いいえ、あなたの言う、本当なら誰でも正気でいられない・・・わかります。」
 「神父様、お願いが・・・。」
 「はい?」
 「海岸に仲間の遺体があります。
 細かい宗派は知りませんが、彼はクリスチャンです。
 弔っていただけないでしょうか・・・。」
神父は小さく十字を切った・・・。
 「かしこまりました、さっそく兵士たちにかけあってみましょう。」
 「ただ・・・あの船の開き方はオレしかできません・・・、
 なのでどちらにしてもここを出してもらわないと・・・。」
 「落ち着かれましたか・・・?」
 「ええ、暴れたりはしません、
 第一、ここから逃げ出しても行くところがありませんし・・・。」
それまで聞くと、神父は再び兵士のところへ行き、彼らと交渉するという。
どうやら、明日の朝一番で、一度、お偉いさんが承認してくれれば大丈夫なようだ。
・・・なら、今夜はおとなしくこの部屋で過ごした方がいいだろう・・・。