Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

首府へ・・・

 
 数日後、この漁村に大勢の兵士に守られた一団がやってきた。
豪華けんらんな御車は、4~5人乗れそうな大そうなもんだ。
仕事をほっぽりだして集まってくる村人を兵士たちは追い払いながら、
御車の中からは、この村にまったくそぐわない派手な衣装をつけたちょび髭の中年と、
セルジオ神父と似たような黒服の、ロマンスグレイの彫りの深い男が降りてきた。
ツナヒロもすぐに呼び出され、
落ち込んでる気分もなんのその、
自分のことで転機が訪れた事が理解でき、
緊張しながら、彼らの紹介を待つ。
見ればセルジオ神父すらそわそわ落ち着かない。
年齢はセルジオ神父の方が年上に見えるが、役職は遙かにこの新しい神父の方が上位なのだろう、
セルジオ神父は、その彫りの深い男の手の甲にキスをした。
そしてようやくツナヒロとの対談だ。
新しい神父は、先にセルジオ神父と二言・三言話してから、
咳払いをして、ツナヒロに頭を下げた。
 「ッホン、・・・はじめまして。
 ツナヒロ・スークさんですね?
 私はキリスト教東方教会九鬼首万里管区から来ました司祭のボードリールです。
 お目にかかれて光栄です・・・。」
ツナヒロは仰天した!
完ぺきな英語だ。
いや・・・からい採点をすれば、アクセントがやや不自然だが、
よどみのない奇麗な英語だ。
 「はっ! はじめまして! ツナヒロと呼んでください!
 ・・・すごく流暢に喋られますね!?」
これまでの暗い気分がすっとんだ。
それぐらい、400年前の時代に戻れたかのように錯覚できる言葉遣いだったからだ。
 「おお、・・・良かった、私の英語が通じるのですね?
 なにぶん、ネィティブな方としゃべるのは初めてで・・・。」
 「いやあ、とんでもないとんでもない、立派ですよ!
 本だけで覚えたんですか!?」