首府へ・・・ 2
そこへセルジオ神父が、我がことのように嬉しそうにフォローを入れる。
「ボードリール司祭は、類まれな才能をお持ちですからね、
ゆくゆくは、大司教の地位さえも狙える方です。」
それはさすがに言いすぎと言うことか、
当のボードリールは眉をしかめた。
「セルジオ神父、あまりそういうことを述べられるのは感心しませんな、
全ては主の御心のままです・・・。
たまたま、私が多くの書物に触れられる機会が多いだけの話ですよ?」
「ああ、これは申し訳ありません、つい・・・。」
そしてその後、ボードリール司祭は後ろを振り返った。
ちょび髭の男が偉そうに待ち構えている。
・・・いやな予感がするが・・・。
司祭はその男に合図をすると、男は姿勢を固く決めたまま、
ゆっくりツナヒロの前にやってきた。
司祭が彼を紹介する。
「ツナヒロさん、この方は九鬼帝国首府からいっらっしゃった、政府の高官で、
三条信康様です、
あなたをこれから首府へご案内するのに、
九鬼側の窓口となられます。」
男は理解不能の言語の終わりを待ってから、ゆっくりツナヒロに握手を求めた。
顔は小難しいままだが礼儀正しいと言えば礼儀正しい。
反射神経で握手を応じるが、
ツナヒロはさらに驚く。
「サンジョウノブヤス・・・!?
え? 彼は日本人なのかい!?」
その言葉に神父・司祭・三条みんなが顔を見合わせた。
「司祭様、彼はなんと?」
「あ、ええ? 三条様、あなたが日本人か・・・と。」
「日本人? なんだ、それは?」
そこへセルジオ神父。
「ああ、お二方、何でもツナヒロさんのカラダには、
その日本という国の血が流れてるそうです。」