施設の男 8
男は考え込んでる様子だ。
いつまでこんな所に足止めされなきゃいけないんだ?
「な、なぁ、あんた等の上役は誰なんだ?
なんなら、明日、オレが直接謝るよ!
もう宮廷のほとんどの方には挨拶も済ませてるし、
宴会で親しくなっている。
あんた等だって面倒なことより上で解決した方がマシだろ?」
「黙れ。」
「・・・うっ。」
しばらくすると男は結論を出したようだ。
「ツナヒロ。」
「あ、ああ?」
「興味があるか、あの屋敷の中に?」
「い、いや、知らない方がいいんだろう!? 忘れるからさ!」
「誰もそんな事は言ってない。
・・・知っておいた方がいいことかもしれないぞ?」
「えっ!? だけど門番は・・・。」
「勿論、彼らはお前を入れる事はない。
だが、お前はこの世界をよく知る必要があるんじゃないのか?」
なんだ?
雲行きが変わってきた。
こ・・・これはどうすればいいんだ?
確かに、何か秘密があるなら知っておきたいが・・・。
「じゃ、興味があると言ったらどうするんだ!?」
「案内してやるぞ? あの屋敷の中をな・・・!」
「はぁ!?」
「来い・・・! それからマゴマゴしてたら・・・お前の命は保証しない。
すぐ動け・・・!」
「ちょ・・・!?」
髪の長い男は180近く身長があるだろうか?
ツナヒロは173程度なので、やや見上げる形になる。
足早に歩く男についていくと、こないだよじ登った塀の所に来た。