Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

第二十四話

 
 「あ、あのさ、
 思ったんだけど、エリナちゃんと斐山君て・・・何か似てない?
 髪の毛や目の色だけじゃなくて、なんか、二人並ぶと・・・!」
ギクリっ!!
実はエリナにとって一番、困る質問がこれだった。
どう答えればいいのかわからない。
 「あっ、ああ、あ、ほんとですよねぇっ?
 実は私もびっくりして・・・。
 も、もしかしたら、私が優一さんに女性として意識されない理由はそれかも・・・。
 ホラ、もしかしたら妹とかそんな風に思われてるのかも・・・。」
それはあながち間違いとも言えない。
一人っ子の優一にとっては、同じ生活空間を共有する新たな同居人は、
今まで欠けていた心の隙間を埋める一つのピースになり得るかもしれなかったからだ。
そしてエリナの答えは、
加藤達の先ほどよりの全ての疑問を一気に解消する、かなりの蓋然性に富んだ解釈だったのだ。

 あれ? あたし何だかホッとしてる・・・?
だが、今度は加藤が別の疑念にとらわれ始めた。
それも今度は、エリナや斐山の事ではなく、自分自身の気持ちでだ。
 い、・・・いやいや気のせい!!
 そんな馬鹿なことありえないって!!
 うん、そうそう、ただの・・・
 気のせい・・・。 

そして彼らは、それぞれの自宅近くになると、
一人、・・・また一人と別れて行った。
それぞれ、互いに期待と不安を織り交ぜながら、
高校生活初日がこうして終了したのである。