Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

第四十話

 
もちろん優一も、エリナが自分以外の他の男性に対し、
こんなマネをする筈のない事も分かっている。
男によっては・・・いや、女もだろうが、このギリギリの状況を楽しむタイプの人間もいるだろう。
だが、優一はそんなまだるっこしいマネは気に入らない。
じらしプレイは経験あるものの、
今はそんな状況ではない。
気を使えば使うほど、方向性は自分のスタイルからどんどん遠ざかる。
ここは互いをその気にさせる行動はすべて却下だ!
 ガブリ!
しゃりしゃりしゃりしゃりリンゴを口の中でつぶしてゆく。
エリナは、優一のそんな姿を見るだけで大満足。
単純と言えば単純なんだろう。
優一は器用に指を動かし、リンゴを飲みこみつつ、さらにエリナに振り向きもせずに話しかける。
 「おみゃえ、まひゃ・・・ゴクン、風呂あがりか。」
解説はいらないと思うが「お前、また・・・」と言っている。
 「あ、はい! あまり汗臭い格好でお部屋にお邪魔するわけにもいきませんから・・・。」
続いて優一は二切れ目のリンゴを・・・。
実際、優一の嗅覚は人間の限界能力を遥かに越えているので、
そういう配慮はありがたいのだが、
嗅いでクラクラするようなシャンプーの匂いもご法度だ。
もっとも感度が高い分、理性のストッパーも高性能だけに、
優一は耐えることができる。
常人ならあっという間だ(何が?)。

 「エリナ、お前リンゴは食ったのか?」
 「あ、はい、下で頂きました!」
・・・エリナ視線で行くと、
優一は全く動じもせずに、
かつ、自分の存在を無視するでもなく、かといって自分の行動を注視されてるわけでもなく、
ほとんど自分の行動を好き勝手にやらせてもらってる。
すごく居心地がいい。
カラダはそんなに大きくないのに感じるこの安心感・・・。
ちょっと前までは、誰もが彼に近づく事すらためらわれていたという、過去の方が信じられない。
 でも今は、私が独占状態・・・へへっ!