Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

語られない物語 獅子の騎士イヴァン3

 
剣や拳に頼る攻撃でなく・・・、
それは獣と獣の激突だ!
そう、タケルが攻撃方法に選んだのは、身に纏うルドラの角!
まるでカモシカやガゼルが肉食獣に反撃するかのように・・・!
吹き飛んだのはライオンの方だ!

イヴァンは目を疑う!
ただでさえ、普通の人間なら、接近戦でライオンに立ち向かうことを考える者などあり得ない。
ましてや獣と同化するような戦いを選ぶ者など!?

だがタケルの戦い方には迷いすらない!
そのまま起きあがったライオンに追撃を加えるべく、
まさに、獣のような形相で、ライオンの首を絞めにかかったのだ!
激しく抵抗するライオンの爪はタケルの鎧に全て弾かれる。
イヴァンが助けに入ろうにも、
ライオンの巨体とタケルの燃えるような激しい眼光に、付け入る隙が見出せない。
あっという間に、ライオンの体から力が抜けていく・・・!

だが、タケルは不可解にも、最後で手を放した・・・。
彼はその殺気に漲る戦いのうちにも思い出していたのだ、
あの、日本の製薬工場で、自分と日浦の身代わりになるかのように死んでいった哀れなライオンを・・・。

野生の生命力か、落ちる寸前にありながらでも、ライオンはすぐに敏捷さを取り戻していたが、
その獣は、もはやタケルの瞳の中に既に戦意がないことを感じ取っていた・・・。
いや、そのライオンが感じ取ったのは、
さらに別の・・・、
この「存在」には逆らってはならないという、何らかの「本能」だったのかもしれない。

その場にいる三者全てが、この戦いに転機が訪れた事を理解した・・・。
何故、ライオンがタケルとの戦いを放棄したのか、
それを考えることはイヴァンにとっても無意味だ。
与えられた使命はタケルを倒すのみ!

そしてタケルも理解する。
ライオンはこの勝負をもう、邪魔しない。
イヴァンと自分の一騎打ち・・・!
負けるわけにはいかない!!

いま、二人の獅子が激突する・・・!