Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

語られない物語 豪剣の騎士ライラック3

 
ライラックの紅い髪が揺れる・・・。
 「義純の気持ち・・・だと?」
 「あの人がこの戦いに反対していたのはアンタが良く知ってるはずだろ!?
 姉貴と・・・美香姉ぇにどんな気持ちを持っていたか、
 アンタは知らねぇっていうのかっ!?
 ・・・それじゃあ、
 あの人がどんな気持ちでオレに殺されたのか・・・、
 その気になれば、隙を見せたオレを倒すことだってあの人にはできたんだっ!!
 なのにあの人はオレにわざと斬らせたんだぞっ!?
 ・・・あの時はオレも興奮していて気のせいかと思っていた・・・、
 だが、戦いが終わって、オレの気のせいや錯覚じゃないとわかった・・・。
 あの人は・・・オレに胸を突かれた瞬間、
 確かに笑ったんだ・・・!!
 その気持ちが、自責なのか、満足なのか安心からなのか・・・、
 そこまでオレにはわからねーけども・・・、
 あの人が最後まで苦しんでいたのは間違いない!!
 そんな・・・日浦さんの心を・・・お前がどれだけ知ってるっつううんだよぉっ!!」

動けなかった・・・。
ライラックは、そのタケルの泣き叫ぶような問いに、答え返すことができなかったのだ・・・。
確かに日浦義純ならそう考えるだろう・・・。
義純が、緒沢美香に惹かれていたことはライラックも薄々感づいていた・・・。
だが、ここ数年、任務のためにお互い、しょっちゅう連絡したりできるわけでもなく、
義純がどこまで思いを膨らませていたか・・・、
いや、それはお互いそうなのである・・・。
日浦義純にしたところで、
騎士団本部の暴走を、早い段階で気づくこともできなかったのだから・・・。
そして・・・。
 「緒沢タケル・・・、義純がお前に殺される瞬間、笑っていただと・・・?」
タケルはこれ以上、言葉はいらないと判断した。
黙ってライラックを睨みつけることがその答えだ。
・・・ライラックは、ようやく冷静に思考を始めることができた・・・。
我に返ったのだ・・・、
長い夢から覚めるかのように・・・。