家路
ちょうど、日が西の山々の裾に隠れきったようだ・・・、
辺りは薄暗くなり始める。
ピエリは後ろの妹の顔を覗き込んだ。
ああ、・・・確かにこいつ、かわいくなったなぁ・・・、
勿論、フラアは兄の不思議な表情に気づく。
「な、何、お兄ちゃん?」
「ん? ああ、
パレード、どうだった?」
「うん!、王様、すごいカッコ良かったよぉ、
ビシッと決まってて、シャンパンゴールドのスーツにおっきな宝石を散りばめて・・・!
でもね・・・。」
「うん? でもどうした?」
「まーた、コーデリアと喧嘩しちゃった・・・、
あいつ、自分が人気ないからってあたしにあたるのよ?」
「ははっ、まぁ、適当に、あしらっとけ、
そういうヤツはいずれ、みんな離れていくよ。」
「だよねー、もう、女の子の集団ってそーゆーのが多いわよ、
デボアさん達とか、男の人たちと一緒にいた方が楽しいかも?」
いいや、それは兄が許さない!
「ま・・・待て待て、フラア、
そっちはそっちで危険だ・・・!
男の品定めはオレがしてやるから、言いよって来る男に気を許すんじゃねーぞ!!」
そう言って顔を前方に戻したピエリを、
フラアはしばらく無言で見詰めていたが、
「うん!」と大きな声を出して、握っていた兄の手を一度、ほどき、
頼もしい彼の腕に自分の腕をからめた・・・。
そして二人は家路を急ぐ、
お兄ちゃん、酒臭いけど・・・。
お兄ちゃん、酒臭いけど・・・。