Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

優しい兄ピエリ

 
フラアは真面目な顔して兄の指摘を真に受けた。
 「あっ、そっかー、
 じゃあお兄ちゃん、つけてみる?」
そう言いながら、フラアは兄の背後に立ち、
されるがままのピエリの頭にデコレートしてやった。
・・・少なくとも、酔っぱらって顔が真っ赤のピエリには似合わない・・・。
 ギャァハッハッハッハッハーっ!!
一同、大爆笑だ。

さて、
 怪我の功名という表現が正しいかどうかわからないが、
ピエリはまだこの場で友人たちと騒ぎたいと思っていた。
しかしながら、かわいい妹を、
群がる男どものいいようにさせるわけにもいかないので、
今のタイミングを契機と考え、
不機嫌そうに席を立つことにした。
 「・・・ホ、ホラホラ、おめーらぁ、笑ってるんじゃねーよぉ、
 だーからっ、それ以上、妹に触れるなって!!
 おーい、フラア、もう行くぞー?」
兄のピエリが伸ばした手を、フラアは恥しそうに掴む。
 「えへへ・・・。」
 「えへへ、じゃねーってよぉ、もう・・・、
 えーっと、飲み代はいくら置いとけばいい?
 とりあえず・・・こんだけありゃ、いーか、
 デボア、足りなかったら明日、また言ってくれよ、
 お前ら、そんじゃな~?」
 「ピエリよ、金はいいから、フラアちゃん、置いてけ~!」
 「フラアちゃん、またね~、今度一緒にデートしようね~?」
誰もピエリの事など、眼中になく、
笑いながら、もう片ほうの手を振って店を去るフラアに見とれていた・・・、
ピエリの友人たちも、周りの席の大人たちも・・・。

そして彼女は、兄のピエリに手を引かれて、この酒場を後にした。