Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

フラア・ネフティス プロローグ

フラア・ネフティス 設定集

第三部 フラア・ネフティス~人間の章 国別・地域別 登場人物一覧(主役クラスから) 神聖ウィグル王国 フラア・ネフティス 民間人に育てられた王族の少女 ディジタリアス 現国王の弟、病弱・陰気・でも賢人 アイザス王 イケメン・人当り良し・でも意志薄弱 …

プロローグの終わり

・・・これで、 物語・・・第三部フラア・ネフティス、人間の章プロローグは終わりを迎える。 今後、フラアは北の街で新たな人間たちと、様々な出会いを繰り返す・・・。 後に、彼女の右腕となる悲劇の将レンや、 最後まで彼女に仕えた暴れん坊ハンス・・・…

出発

そしてまた、数日後、 フラア、ディジタリアス・・・そしてツォンは王都ラシを離れ、 北の街、ザラスシュトゥに出立する。 ディジタリアスにしては、その静養地への出発は、時期としては少々例年より早いものであるが、 特段、王宮に大した貢献もしていない…

葬儀

翌日・・・、 王統府の会議でディジタリアスの提案は可決された。 本音を言えば、王統府の各大臣・役人ともども、フラアをどのように扱えばいいのか、 その対策で十分な時間を必要としていたのである。 ある意味、北のザラスシュトゥに課題をぶん投げるのは…

悪夢の終焉 12

フラアには聞き覚えのない地名であるが、 王族専用と言うことであれば、当然アイザスには心当たりがある。 「ディジタリアス、ザラスシュトゥと言えば・・・?」 「はい、兄上、私の冬場の静養地です。 あそこなら王族の者がしばらく滞在するにも良い環境か…

悪夢の終焉 11

しばらく時間を待ってから、ディジタリアスは彼女をなだめる。 「・・・落ち着くのだ、 そなたの気持ちはよくわかる・・・。 だが、暮らしはどうする? 自分達を魔女と罵った近所の者たちと共に暮らすのか? それこそ・・・そこに、そなたの居場所はあるとい…

悪夢の終焉 10

「な、なにぃっ!?」 目ん玉ひんむいて驚くアイザス。 そこまで酷くはないが、ツォンもディジタリアスも、 こんなはっきりと拒絶する彼女の反応を予想できなかった。 フラアは構わず己の意志を伝える。 「ここは私の住むべき場所ではありません・・・。 家…

悪夢の終焉 9

ディジタリアスは話を続ける。 「ただ・・・今回の不祥事に関わった人間、 特に法王庁にはそれなりの厳罰を要求すべきだと思う。 責任の所在が誰にあり、 これまで、違法な取り調べを誰が行い、どんな罰を与えるべきなのか・・・、 それによって、議会の方に…

悪夢の終焉 8

私たち家族を魔女に仕立て上げた者たち・・・ それは・・・町のみんな!? 最初は・・・誰か野次馬か・・・、その場にいた顔見知り程度が流した噂・・・。 それがどんどん、大きくなって・・・、 仲の良かったご近所さんや、お兄ちゃんの友達ですら・・・ 「…

悪夢の終焉 7

もっとも、そんな二人の関係など、この場のフラアにとってはどうでもいい。 「・・・納得できません! それじゃあ王様の冠なんか、ただの飾りじゃないですかっ! 国を治めるのが王様の務めじゃないのですか? 王様の権力は何のためにあるのですっ!?」 辺り…

悪夢の終焉 6

「・・・申し訳なく思う、フラア・・・。」 彼女はその敵意をたたえた視線をディジタリアスに向ける。 その代り、これ以上は口を開きはしない。 この後のディジタリアスの言葉を待ったのだ・・・。 「・・・我々には力がないのだ・・・。」 はぁ !? 何を言…

悪夢の終焉 5

アイザスが明かすのは、今日の会議の結果である。 「む、ゴホン、・・・それで、今日の会議の大まかな内容だが・・・、 法王は退位することになると思う。 マグナルナ派の人事については、我ら王族と言えども関与することはできないが、 順当に行けば、現在大…

悪夢の終焉 4

確かに豪勢なテーブルには違いないが、 良く見ると脂っこいものは少なそうだ。 デザートや飲み物も沢山用意されている。 アイザスに視線を返すと、ハンサムな顔に優しそうな笑顔を浮かべている。 ・・・これが別の形でこういう席につけたら、最高だったのか…

悪夢の終焉 3

「あたしが着てるこのドレス・・・、まさか?」 フラアの背後で着付けを手伝った年配の女官は、微笑みながら口を開けた。 「ええ、あなたの母君、 アスタナシア様が王宮を飛び出す前に、着てらっしゃったドレスです・・・。 正直、私めも驚いております。 ま…

悪夢の終焉 2

「・・・フラア様、いかがですか、このドレスは?」 「・・・こんなの着なきゃいけないの? きついし・・・カラダが動かせないわ・・・。」 「ご安心を・・・着付けは我らにお任せ下さい、 歩き方は・・・一朝一夕には身につかないでしょうが・・・、 せめて…

悪夢の終焉 1

悪夢が終わった・・・。 いや、現実に変化はない。 フラアが家族を失ったという現実・・・。 だが、「国家」は・・・この神聖ウィグル王国という「生き物」は、 止まる事を許しはしないのだ・・・。 それが良いことか悪いことなのかは、全く関係ないことなの…

悪夢の一日の終わり

ディジタリアスにしても、これ以上自分が何かするつもりもなかった。 自分に出来ることは全てやりつくしたし、 頭の良すぎる彼は、自分の欠点も熟知している。 ここは自分では役に立たない・・・。 神聖ウィグル国王アイザスならば、その地位なりの言葉や行…

転嫁

フラアも、この静かな部屋で、後ろのディタリアスやツォンの会話が聞こえないわけでもない。 自分の行動を危惧してるんだな、という考えまでは容易に想像つく。 とはいえ、本当にそれ以上、何も考えられないのだ。 誰のせいでこうなったのか、 どうしたらこ…

ささくれる心

今、フラアの望みは一つである。 「・・・みんな出てって・・・。」 だが、周りの者にしてみたら、 そんな事を言われても、たった一人のフラアを放っておける筈もないし・・・。 「お願いだからあたしを一人にして・・・! 誰も話しかけないで!!」 ここま…

独りぼっち

嘘よ・・・こんなの信じないっ!っ お か し い・・・ おかしいよ? どうして・・・ 私たち、何も悪いことしてないのに・・・? 何でこんな事にぃ? 「・・・だれ? どうして? だれがこんな酷い事を!? 教えてっ! 誰か答えてっ!! 答えなさいよっ!! 誰…

辛い結末

「・・・お母さん・・・ ?」 無能な男どもが言いあっている間、 部屋の中央では事態に変化が生じていた・・・。 医師たちもテキパキと次の行動を取り始める。 フラアはそれ以上何も言えず・・・ 何も反応できず、 医師たちの邪魔にならないように、体は引い…

無能なる者たち

母親は、アイザスの言葉を聞くと、安心して再び視線をフラアに戻した。 「さ、聞いたかい、フラア? ・・・お前はこれから、本来の自分に戻るだけなんだよ・・・? お前は・・・私たちには過ぎた娘だ・・・ まるで本物の宝物のような子供だったよ・・・、 お…

一つの推測

そこには「一滴の真紅」という物的証拠・・・。 そして後の話にもなるが、 王女アスタナシアの生前の肖像画・・・その面影とフラアの似姿・・・。 更に何と言っても、ツォン・シーユゥの存在は大きすぎる。 実際・・・天使シリスは「フラアを守れ」と、ツォ…

母親達の願い

薬のせいか、母親の表情は意外と安らかだ。 土気色の顔に笑みさえ浮かべているように見える。 自分の娘が無事でいることに、満足を覚えていたのかもしれない。 そして母親は、娘の呼びかけに弱々しく口を開ける・・・。 「まだ、・・・私を母さんと 呼んでく…

そして・・・

時刻は既に真夜中に近い。 だが、この部屋では誰も、眠りにつく準備など出来やしない。 数人の医療スタッフが全力を尽くして、フラアの母親の治療につくも、 この時代の医療レベルでは出来ることはたかが知れている。 治療室には二つのベッドが並べられ、 片…

忌まわしき刑場

「何言ってるのっ!? あたしは誰も恨んでなんかいないっ! 元の暮らしに戻れればそれでいいのっ! ・・・ねぇっ! お父さん! しっかり! ねぇってばぁっ! お願い! 返事してっ! これで家に帰れるんだよっ!? ねぇっ! お父さんっ、お父さんっ、あ、ぅあ…

父親

「・・・我らが祖、天使シリスの従者、ツォン・シーユゥ殿! 神聖ウィグル王国現国王アイザスと申します! どうぞ、この場に下りてきてくださいませ! 謹んであなたを迎え入れます!!」 アイザスに分かる訳もないが、いくら何でも下から肉声で叫んだって、…

収拾

ウィグルと言う国家に強い帰属心を持つ者、 またはマグナルナ派として強烈な信仰を抱いている者には、 「キントクラウド」も「ツォン・シーユゥ」も既知の名称だ。 ・・・とは言っても当たり前の反応として、 最初にその場の誰もが抱くのは、理解できない現…

態勢決着

「な・・・なんだ、あれは!?」 「おい! 空を見ろ! つ・・・月が!?」 「馬鹿を言うな!あんな月がある訳はない!」 「きゃああああ! 助けてっ! 誰かぁっ!?」 辺りはパニックになり始めた! 誰もこの現象など理解できる筈もない! 兵士・役人・裁判…

忘れられた男

「法王ランドレットよ! ご自分で言ってる意味を理解されてるのか! 被疑者であるこの娘は、ともに育った兄とは血が繋がっていないと言う話をしていたのですぞ!? インセストそのものが成立していないではありませんか!!」 「あ!?・・・あ・・・!」 よ…