Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

家庭の風景

 
四人の家族は、毎晩、同じテーブルで、
くだらないことで盛り上がったり、
時には子供たちの行儀の悪さを叱りつつも、仲良く暮らしてきた。
どこの一般家庭でもあるように、
奥様連中の井戸端会議では「ウチの息子がねぇ・・・」などと、
ありきたりの悩みもあるが、
他人から見れば、十分に温かく幸せそうな家庭だ。
だからこそフラアのような、明るく笑顔の絶えない娘が育つのだろう。

ただ、そういった家庭環境を考慮に入れても、
この街でフラアの注目度は群を抜いていた。
取り立てて何が優れている・・・というわけでもないのだが、
気がつくと集団の真ん中にいるのだ。
ほっといても誰かが寄ってくる。
それだけ彼女には、何かしら「オーラ」のようなものが漂っていたのかもしれない。

 「・・・ふわぁあ・・・じゃあ、オレは寝るよ・・・
 父さん、母さん、フラア・・・お休みぃ~・・・。」
このウィグルの習慣ではそう珍しくもないが、
年頃の息子がいると、
家の広さにもよるが、母屋ではなくハナレで寝かせる家庭が多かった。
年の近い異性の姉妹がいればなおさらである。
元々この家の間取りは、装身具を売る店の部分が通りに面し、
その奥がダイニング・・・、
二階が各寝室・・・そしてこのネフティス家では、
ハナレに工房を構えており、
その奥にある部屋を、ピエリの寝所として使用していたのである。
これはフラアが15歳を過ぎてからのことだ。
勿論、ピエリには、朝から晩まで、いつでも修行ができるようにという配慮が、
最もメインの理由である。
 さぁ、ピエリ、一人前になるまで泣き言ぬかすなぁ!