Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

発覚

 
 「お兄ちゃん? 今頃帰り?
 いくらここのところ、ヒマだからと言って、お寝坊は・・・
 うわっ、
 真っ暗じゃない、明かりぐらい・・・。」
工房の先のピエリの寝室は真っ暗だ。
鍵は普段も掛っていないので、中に入るのは問題ない。
ピエリの部屋は、窓の閂が外れており、
時折、煌めく稲光が、部屋の中を瞬間的にではあるが明るくしていた・・・。
ピエリは既に布団の中に潜り込んでいるようだ。

うっわ! 酒くさっ!!
まぁいつもの事だけど・・・。

どうやらピエリはボコボコにされた後、
どこかで飲みつぶれていたようだ。
馴染みの飲み屋には顔を出せないので、
面識のあまりない酒屋で瓶ごと買って、一人で飲んでいたのだろう・・・、
顔中、傷だらけ痣だらけ鼻血べっとりで、よく普通に買えたものだ。

そしてもちろん、フラアはこれまでの経緯も知るわけもない。
窓からの光で、ナイトテーブルを見つけたフラアは、
そこに水差しを置きながら、まだ寝入っていない筈の兄にもう一度声をかけた。
 「お兄ちゃん、ここにお水置いとくよ?
 全く、お酒弱いのに、そこまで飲みつぶれることもないでしょ?」
兄は布団の中で寝がえりを打つ・・・。
 「・・・うるせーなぁ・・・、お袋みてぇな事を言うんじゃねーよ・・・!」
いつもなら言い返すところだが、
兄の声が変だ・・・、お酒のせいでもなさそうだし、
声が潰れるほど、歌でも歌ってきたのだろうか?

無造作にかけられてる毛布を直してやろうと、
フラアが一度、毛布の裾を掴んでかけ直した時、
・・・ちょうど、窓からの光がピエリの顔を照らしていた・・・。
 「きゃ!? な、なに、お兄ちゃん、その顔は!?」
 「・・・うるせーつってんだろっ!!」